ラベル 嵐山 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 嵐山 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2022年12月15日木曜日

小督の墓


 
 
 芭蕉は人生の本質を無情・流転に見た。しかし、これは芭蕉の独創ではなく、「平家物語」にも書かれていることである。有名な冒頭。

 祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響あり。沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。おごれる人も久しからず、ただ春の夜の夢のごとし。たけき者も遂にはほろびぬ、ひとへに風の前の塵に同じ。

沙羅はものまねタレントのことではない。インドの沙羅は別種らしいけれども、日本の沙羅はナツツバキとされる。朝に開花し、夕には落花する。一日花。どんなに美しい花を咲かせても、夕には落下してしまう。まさに無情・流転。

平家物語は、平清盛とその一族の流転・無情を描く。その大きな渦の回りでは、いろんな人の人生もこれに巻き添えをくって流転していく。

そのエピソードの一つが小督。京都桂川沿い、嵐山の対岸に墓がある。「嵯峨日記」に書かれているとおり。当時、まわりは竹林だったようだが、いまは竹林が減り、「ずいぶん騒がしくなったなぁ。」と小督さんも嘆いておいでだろう。

超絶美貌で琴の名手。高倉天皇に愛された。しかし天皇の正妻は平清盛の娘・建礼門院だったことから、清盛の怒りに触れ、迫害を受けた。難を避けるため、嵯峨野に隠棲した。

天皇はあきらめきれず、源仲国を使わして探させる。仲国(笛の名手)があちこち探しあぐねていると、仲秋の夜、妙なる琴の調べが。もちろんそれは小督の琴のしらべ。

仲国は宮中に戻るよう説得するが、小督はこれを拒否。しかし仲国はねばる。なぜなら、小督の心のうちを知っていたから。

なぜ、知っていたのか?それは先の琴の曲名が「想夫恋」だったから。なんと美しいお話。

九州で「想夫恋」といえば焼きそばの店だが、もとはこんな美しいお話。なぜ、焼きそば屋の名前になっているのか。小督さんもびっくり。まさしく生々流転。

・・・などと大野城イオン前の想夫恋で、焼きそばをかき込みながら想ふ。

2017年12月11日月曜日

想夫恋と小督


           (嵐山・小督塚)


            (琴きき橋跡)

 九州人に「想夫恋」といえば焼きそばだけれども,『平家物語』には焼きそばとは似ても似つかぬ哀切な物語があります。また嵐山にいくと嵐山,桂川,渡月橋や天竜寺に目がいくけれども,『平家物語』ゆかりの名所がひっそりと佇んでいます。

 まずは,「小督塚」。渡月橋の北詰,大堰川沿いに西(亀山の方)に1区画ほど向かい,アラビカの角を北に入ってしばらくいくと,左側にあります。小督さんは,高倉天皇の寵姫。たいへんな美人だったそう。天皇の中宮が平清盛の娘・建礼門院徳子であったことから,清盛は小督を宮中から追放。迫害をおそれて,小督は嵯峨野に隠れ住んでいました。

 天皇は嘆き悲しみ,源仲国に命じて,小督を探させました。ときは中秋の名月が煌々と輝いています。ヒントは嵯峨野のあたり,片折り戸に茅葺きの家というだけ。みなさんだったら,どこを探しますか。

 仲国は,まず清涼寺からはじめます。例の源融ゆかりのゆかりもある寺です。嵯峨釈迦堂の名で知られ,中世以来融通念仏の道場としても知られています。謡曲「百万」はそれが舞台になっています。

 ほか堂々を見てまわりますが,見つかりません。逃げ出したい気持ちをおさえて,今度は法輪寺へ向かいます。法輪寺は,渡月橋から嵐山の中腹に見えるお寺です。つまり,仲国は嵯峨野を北から南の嵐山の方に向かったことになります。すると・・

 亀山のあたり近く,松の一叢ある方に,かすかに琴ぞ聞こえける。峰の嵐か松風か,尋ぬる人の琴の音か,覚束なくは思へども,駒を速めて行くほどに,片折り戸したる家に,琴をぞ弾き住まされたる。控えてこれを聞きければ,少しも紛ふべうもなく,小督の殿の爪音なり。楽は何ぞと聞きければ,夫を想うて恋ふと読む,想夫恋と言ふ楽なりけり。仲国,さればこそ,君の御事思ひ出で参らせて,楽こそ多けれ,この楽を弾き給ふことのやさしさよと思ひ,腰より横笛抜き出し,ちつと鳴らいて,門をほとほとと叩けば,琴をばやがて弾き止め給ひぬ・・

 このかすかに琴ぞ聞こえた場所が渡月橋の北詰とされています。ま,清涼寺から法輪寺に向かい,亀山のあたり近くに琴の音が聞こえたというのだから間違いはないでしょう。いまは立派な渡月橋が架かっていますが,むかしは琴きき橋というのが架かっていたようです。琴きき橋跡の碑がたっています。

 『小督』は謡曲にもなっています。

 紅葉の時期もよいけれど,中秋の名月をながめ,小督と仲国に思いをはせながら,ここらあたりを散策してみてはいかがでしょう。

2017年11月28日火曜日

京都・嵯峨野の紅葉(1)筑紫野市の弁護士の旅


         (嵯峨野,常寂光寺の紅葉)

 京都嵯峨野を散策し,紅葉を嘆賞してきました。

 阪急嵐山駅でおり,まずは,桂川べりを散策。嵐山を借景に結婚式の前撮り(2組)がおこなわれていて,幸せのおすそわけをもらいました。

 大堰川沿いに亀山に登ったあと,はじめて宝厳院をたずねました。阪急桂駅に貼ってあったポスターがきれいだったので。同院は天竜寺の塔頭なのですが,獅子吼の庭や紅葉のトンネルは本寺より見応えがありました。

 人,人,人でにぎわう天竜寺,竹林,野宮参詣のあと,昼食は「あだし野」で湯豆腐。鋭気をやしないました。

 すこし戻って,落柿舎をたずねたのち,常寂光寺,二尊院へ。小倉山の山麓にある2寺は,どちらも藤原定家の小倉山荘「時雨亭」があったとされています。

 二尊院ファンには叱られるかもしれませんが,この日の紅葉の見事さからいえば,常寂光寺に軍配をあげざるをえませんでした。すばらしい紅葉,また来年も来たいものです。

 小倉山 峰のもみぢ葉 心あらば
      今ひとたびの みゆき待たなむ
                   貞信公

                           (つづく)