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2010年12月9日木曜日

 マイブーム~丸谷才一さん~


                 (有明海越しに雲仙岳を望む。)

 最近のマイブームは丸谷才一さん
 結婚式等でおこなつた挨拶をまとめた新作「あいさつは一仕事」
(朝日新聞出版)
 これにはまりました。
 
 以前にも、いくつかたのしく読んだことはあつたのものの
 今回がいちばんおもしろく感じました。

 なぜいまブームなのか?
 年齢のなさるわざか、それとも…(ほかに思ひつきません)。

 丸谷さんとしては、力を入れてゐる長編小説ではなく
 余技のひとつにすぎない挨拶集をほめられても不本意でせうが。

 1 学識は鹿爪らしくて苦虫を噛みつぶしたよふなものでなく
  明るくて、陽気で、機嫌のいいものだという考え方

 2 評論は読んでよくわかつて一向さしつかへないこと

 3 口ぎたなく罵らなくても
  文学と人生を批評する鋭い切れ味をみせることができること

 4 俗であること、あるいは世俗に対して激しい関心をいだくことが
  上品さ、高潔さときれいに両立すること

 5 変な遠慮や勿体のつけ方をせず
  まことに勇敢に女および女性的なものすべてを取り上げること

 6 遊び心を奔放に発揮することが
  すなわち人間と世界の新しい探求となり得ること

 いずれも私に親和的で、読んでいてじつに気持ちいい。

 丸谷さんの挨拶は、主役の人となりや業績を
 まことに的確にとらえて話をされてゐます。
 
 挨拶も、批評のひとつ
 批評とは、よひ点・悪ひ点などを指摘して、価値を決めること。
 (岩波・国語辞典)

 こつは
 1 「よひ点」はご本人ならびにまわりが納得するようなところを
  的確に・十二分にほめること

 2 「悪ひ点」はじようずに回避すること
  せひぜひが遠回しに指摘するにとどめること
 にあるようです。
 
 なるほど、ひごろの人つきあひにも十分つかへそうです。
 さすが一流の批評家はちがひます。
 毎日新聞の書評欄をながらく主催されただけのことはあります。

 「批評は近代には大いに力を振るつたが
 21世紀の今、批評が果たす役割がいかばかりなのか疑問ももたれてゐる。
 ことにインターネットの日常化により
 批評家といふプロの存在が危うくなつてゐるかもしれない。」
 (はてなキーワード)などといわれてゐますが、はたしてそうでせうか?

 たしかに、家電量販店などにいくとランキングNo.1、売れ筋No.1といふ
 アイテムが安心感があり、これにしたがって購入したりします。

 しかしながら本や人、業績となるとちよつとちがう感じ
 家電とちがい、読み方にはレヴェル・深さの問題があるからです。

 それぞれの読みでいいことは否定しませんが
 達人に読み方を教えてもらふと、深く味はへることがあります。

 また未知の世界へも連れていってもらへます
 先達はあらまほしきことなり、です。  

 弁護士という仕事がら、挨拶をおおせつかる機会がときどき
 ですが、これがなかなかにむずかしひ、たしかに一仕事。

 うまくいつたと感じられるのは、せひぜひ3回に一度てひど
 用意したジョークがすべると、かならずダメですね
 野球選手ならこれくらいの成績でよいのでせうが。

 さすがの丸谷さんでも失敗することがときどきあるとか
 すこし慰められます。
 

2010年12月6日月曜日

 有明海訴訟、福岡高裁も開門を命ず



 雲仙・国見岳(1347m)から有明海をのぞむ。
 (国見岳の名はむかし国見をしたことに由来するものでしょう)

 島原半島のむこうは有明海
 左方が諫早湾
 対岸は佐賀平野から筑後平野
 そこに佐賀、柳川、大牟田の各市街。

 昨7日、有明海訴訟において福岡高裁は
 諫早湾の潮受け堤防排水門を開門するよう国に再び命じました。

 有明海沿岸の漁民らは
 国営諫早干拓事業で漁業被害を受けたとして
 潮受け堤防の撤去や排水門の常時開門を求めていました。

 民法上、物件・人格権などの権利を侵害するばあい
 差し止め請求が認められると解釈されています。

 本件では生活基盤にかかわる漁業行使権を侵害していると認め
 侵害を差し止めるため、排水門を開門するよう命じたわけです。

 (われわれ国民一般の有明海の環境を保全する権利や
 ムツゴロウの生活権を認めたわけではありません
 そこは現在の法律学の限界です)

 開門賛成派は有明海の漁業者
 反対派は国(農水省)だけでなく干拓農地の農業者
 海幸vs.山幸ならぬ、海幸vs.農幸の争いになってしまっています。

 海の神(ワタツミ)が死ねば
 農業もたちいかないばかりか
 そもそもわれわれ人間だれもが生きられないと思うのですが。

 菅政権には
 国原からは煙りたち、海原からはカモメたつような
 うまし解決を期待したいと思います。

  
  大和には 群山あれど

  とりよろふ 天の香具山

  登り立ち 国見をすれば

  国原は けぶり立ち立つ

  海原は かまめ立ち立つ

  うまし国ぞ 蜻蛉島

  大和の国は

        舒明天皇・万葉集第一、二
        (萬葉集釈注 一、集英社)