2013年5月16日木曜日
聖福寺展
福岡市博物館でやっている
『博多・聖福寺展』
栄西禅師八百年
大遠諱記念特別展。
やや意外なことに,博多の聖福寺は
日本最初の禅寺である。
しかし,鎌倉時代にタイムスリップすれば
これは意外でもなんでもない。
事情は松本清張の初期代表作
『点と線』のアリバイトリックに似ている。
念のため『点と線』の
あらすじ。
東京駅13番線プラットフォームには
料亭「小雪」の女中2人と容疑者Yの3人がいた。
15番線プラットフォームで,夜行特急「あさかぜ」に
「小雪」で働くTとSが乗り込むところを3人は目撃。
Sは現在社会をにぎわしている
汚職事件の関係者であった。
数日後、TとSは香椎の海岸で
情死体となって発見された。
博多のベテラン刑事・鳥飼は,
真相を探るため、ひとり捜査を開始。
だが、容疑者安田には
完璧なアリバイがあった…。
鳥飼は鉄道中心に推理するので
Yには完璧なアリバイがある。
しかし飛行機を考慮にいれれば
なんということはない。
移動手段が鉄道中心だった作品発表当時
このアリバイは完璧だったかもしれない。
が,いまからみれば
やや陳腐な感じ。
なぜ,鳥飼はこんな簡単なトリックを見破れないのか?
というふうに思ってしまう。
さて博多・聖福寺が日本最初の禅寺であったことも
当時の交通事情を考えれば不思議でもなんでもない。
臨済禅は中国から
もたらされた。
当時,中国に往き来するには
飛行機はなく,船だけ。
その船に乗るには
中世の大都市,博多を経由することになる。
かくて日本最古の禅寺は
博多にひらかれた。
山門の勅額にはずばり
「扶桑最初禅窟」。
日本で最初の禅寺と
書かれている。
2011年11月7日月曜日
点と線
『点と線』(新潮文庫)は、ご承知のとおり
松本清張の長編推理小説。
わが福岡市香椎の海岸で
男女の情死とおもわれる死体が発見され
博多のベテラン刑事・鳥飼重太郎が
犯人のアリバイを崩していきます。
「点と線」という表現は
依頼者への説明でよく利用させてもらいます。
証拠には2種類あります。
書証と人証です。
書証は契約書や登記簿の記載事項など
人証は証人の証言や原・被告本人の供述などです。
書証は点
人証は線です。
裁判で提出された書証という点を
人証という線でうまく結べるかどうかが勝敗を決します。
すべての点がきれいな線で結ばれていれば真実とみなされ
デコボコな線でしか結ばれていなければ虚偽とみなされます。
実際はデコボコだったのかもしれません
往々にして真相はデコボコのことも多いでしょう。
でも裁判中の証言はどうしても嘘がおおくなるので
このようにして判断しなければ勝敗を決することができません。
ま、天動説と地動説どっちが真実か?
という問題に対する解答の判定と似ているかもしれません。
証人尋問、とくに反対尋問は
証人の証言の矛盾を書証によって崩すばあいがほとんどです。
みなさんも弁解のほころびをおぎなうためにまた弁解し
その矛盾点をつかれて立ち往生した経験がありませんか?
それはさておき、『点と線』で犯人が仕掛けたアリバイは
現在ではテクノロジーの進歩により完全に陳腐化しています。
われわれが読んでいて
なんでそんな簡単なアリバイが解けないの!?という感じです。
『点と線』が書かれたのは、私が生まれる前
1957~58年のことです。
時代的な制約ってやつです。
こういうことってありますよね?
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