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2023年8月31日木曜日

不帰ノ嶮(かえらずのけん)(6)天狗山荘、白馬鑓温泉

 


 
 山中2泊目は天狗山荘。小屋前からは白馬三山のうち一番南に位置する白馬鑓の大展望(一枚目の写真)。小石でザレていて、白色に輝いている。美しい。

よくみると、中腹から右へ九十九折りの登山道が見えている。それを右にたどると右方へ登山道がつづいている。白馬鑓温泉への道である。あすはあそこを下る。

小屋の裏には雪渓・雪田がたくさん残っている。そのため小屋の水は豊富。飲める。きのうの唐松岳頂上山荘は水不足で洗顔もできなかったので、ありがたい。

小屋回りにはお花畑が広がっている。ヨツバシオガマがこれほどたくさん咲いているとことははじめて。2枚目の写真。あとはウサギギクとか。ウルップソウは花期を終えていた。

天候しだいでは富士山まで見えるという。残念ながら台風が接近している状況ではそれはかなわず。

夕方からかなり強い雨になった。夕食は名物の天狗鍋だ。山小屋で鍋料理というのも初めてかも。雨はつづき、満天の星空をあおぐことはできなかった。

翌朝は4時起き。きのうからの雨が残っていた。風も強く道をたどるのに苦労した。なんとか白馬鑓温泉への分岐にたどりついた。このころには薄ら明るくなり、道もみえやすくなってきた。

遠く近くで目覚めたライチョウがギャギャと鳴いている。なおも雨はつづき、メガネが曇って歩きにくい。

2時間半、後半は鎖場の連続でやっと白馬鑓温泉に。温泉に泊まった人たちが次々と出発している。

そこからさらに4時間弱。もうひとがんばりだ。温泉をくだって、白馬鑓の裾をトラバースしていると、晴れてきた。振り返ると、鑓沢の全景が。白馬鑓温泉も見える。まるで見送ってくれているようだ。なごりおしい。

台風が接近するなか、なんとか下山することができた。いそいだのでマメがつぶれた。白馬駅10時23発の電車に滑り込むことができた。

そこから大町、松本、名古屋を経て、電車がとまるまえに、なんとか博多まで帰りつくことができた。やはり日頃の行い・・(以下、自粛)。

2023年8月30日水曜日

不帰ノ嶮(かえらずのけん)(5)天狗の大下りと天狗の頭

 



 難所を通り抜け、ようやく不帰ノ嶮・第Ⅰ峰まで到達した。前方には天狗の山塊が美しく鎮座している(1枚目の写真)。

左側の九十九折りの登山道が天狗の大下り。その上部に達すると、右へ天狗尾根が伸びている。中央、小高くなっているところが天狗の頭。尾根の右奥に白馬鑓が上部を見せている。

その手前の肩あたりに天狗山荘がある。きょうの宿泊地。不帰ノ嶮を踏破して疲れているが、なんとしてもあそこまで行かなければならない。

まずは天狗の大下り(2枚目の写真)。大下りだけれども、逆コースなので大のぼり。高度差400メートルもある。急角度でザレた坂を延々と登る。ときどき渡っていく涼風が気持ちがいい。

途中で振り返ると、不帰ノ嶮にガスがかかっていた(3枚目の写真)。台風が接近しているので、東(左)側から湿った空気が山をのぼってきてガスを発生させているようだ。

天狗の大下りの上部は鎖場が続いている。これをクリアしてようやく上部に達した(3枚目の写真)。これから大下りをくだろうというおじさんが気合いを入れていた。

おじさんの眼前には雄大な絶景がひらけていた。前方には後立山の山々、右方には黒部峡谷、その向こうに薬師岳が見えていた。

2023年8月29日火曜日

不帰ノ嶮(かえらずのけん)(4)核心部

 





 不帰ノ嶮は、唐松岳側から縦走すると、第Ⅲ峰、第Ⅱ峰(南峰と北峰)と第Ⅰ峰からなる。このうち、一番の難所である核心部は第Ⅱ峰・北峰の北面。200メートルの高度差がある絶壁である。

難所は登ったほうが安全である。視界がとりやすいし、足運びも楽だから。しかし台風が接近するなか、唐松岳方面から縦走することになったので、今回は難所をくだることになってしまった。だいじょうぶだろうか。

いきなり核心部ということで、まずは第Ⅱ峰を南峰から北峰へむかうところから。一枚目の写真である。先行者がいる。中央丸くもりあがっているところが北峰。丸くもりあがっているところを向こう側へ降りる。

2枚目の写真が北峰の頂上である。北東方面へ下る。写真でいうと、左下から右上のほうへおりていく。右側の石のほうへ降りてはダメである。×と書いてある。左側、わずかに鎖が見えている。この鎖を使って左手の向こう側におりなければならない。

2枚目の崖をくだると北(左)側に旋回する。しばらく下ると、NHK百名山などでよく紹介される難所であるハシゴ場にでる。3枚目の写真。高度感はあるが、ハシゴは意外と安定している。落ち着いて渡れば、なんということはない。

最後の最大の難所は鎖場をなんども繰り返してくだるところ。4枚目の写真。途中で離合したおじさんが登っていく。ここでは足場が見えなかったため、ヒヤヒヤした。ここはやはり登ったほうが安全である。

下りおえたところで振り返った。ほんとうに急な崖である。ピークから左手におり、中央のとんがったところを右側へ乗り越し、右側の壁面をおりてきた。よくくだれたものだ。ほっとした。

2023年8月24日木曜日

不帰ノ嶮(かえらずのけん)(3)ご来光

 


 山中2日目の夜明け。

日の出は5時ころ。4時半まえに起き出して裏山に登る。すでに20~30人の人たちが待ち構えている。風はそれほどなく、ややひんやりする気温。ブルーモーメント。東の空が白んでいる。

寒色系の空に、すこしずつ暖色系の色合いがまじっていく。白馬村があるあたりは雲海に覆われている。東のほう、雲海の涯、ある点の光が増していく。日の出はおそらくあのあたりだ。

小さな輝点が姿をあらわす。ご来光だ。どよめきが起きる。輝点がどんどん成長し、円弧、半円、丸円となる。ひゃー神々しい。

ご来光を拝すると、太陽のパワーを実感する。太陽光線があたると、明るく、あたたかくなる。人類の強い味方。太古人類が神とあげめたことが実感できる。

手前は北信五岳(妙高、斑尾、戸隠、飯綱、黒姫)、その横は信州と越後の県境にある頚城山塊(妙高、火打、雨飾)。

西側を振り返ると、立山と剱岳がモルゲンロートに。後はビーナスベルト。美しい。手前の黒部峡谷はまだ夜があけていない。

鹿島槍、五龍、唐松、白馬の山々は後立山連峰と呼ばれる。いまの感覚だと、あれっと思う。立山の前にあるから、前立山ではないかと思うのである。

なぜか。後立山という呼称は富山県、日本海側からの呼称だ。この名称がつけられた当時、信州側より富山県側のほうが栄えていたということだろう。

しばらくすると、朝日は角度をあげる。空はふたたび、暖色からブルーの世界に変化する。雲海がキラキラ光をはねかえす。なんという雄大な景観だろう。

2023年8月23日水曜日

不帰ノ嶮(かえらずのけん)(2)唐松岳頂上山荘にて

 




 山中1泊目は、唐松岳の肩にある唐松岳頂上山荘(標高2620m)に泊まる。

八方尾根を登ること4時間5分。山荘から徒歩15分で、唐松岳の山頂だ。山頂は2696m。北アルプスは後立山連峰の一角で、日本三百名山。なかなかかっこよい山だけれども、いずれも百名山の五龍岳と白馬岳にはさまれて、三百名山に甘んじている。

南を望むと五龍岳(1枚目の写真)。2814m。その右(東)には、黒部川の峡谷をはさんで薬師岳が見えている。右肩、最奥部には槍・穂高も見えている。

唐松岳は1500mくらいまでゴンドラやリフトが利用でき、危険箇所も少ないため、北アルプスの山のなかでは比較的登りやすい。お盆期間中ということもあり、家族連れ、子ども連れのパーティもいた。山荘前では、唐松岳を背景に、子どもが黒部の深い谷をのぞき込んでいた(2枚目の写真)。

西側、黒部峡谷の向こうには立山と剱岳が見えるはず。だが残念ながら、ガスが発生してしまって見えない。

太平洋沖では猛烈な勢力をもつ台風7号が発達しながら本州に接近していた。台風は湿った空気を日本列島にどんどん送り込んでいた。そのため、山の天気はめまぐるしく変化し、午後からは積乱雲が発達した。稜線にいては危険な積乱雲だが、小屋前では皆、発達した積乱雲をまえにくつろいでいた(3枚目の写真)。

びっくりしたのは山荘の裏に、ウソがいたことだ(4枚目の写真)。いや、ほんと。ウソはご存じのとおり、天神様の使いの鳥。太宰府天満宮でウソ替えをやるときの、あのウソである。天満宮の裏山に住んでいると思いきや、このような高山帯にまで住んでいるとは。

ウィキによると、亜高山帯には住んでいるようだ。亜高山帯とは、シラビソやコメツガなどの針葉樹が生育しているようなところだ。高山帯は、寒冷、強風や豪雪の影響で、それら針葉樹も生きることができず、ハイマツや高山植物しか生育していない。

そのような厳しい環境で、なぜウソがいたのだろうか。ひとつは温暖化の影響もあるだろう。近年、サルやイタチが高山帯にまで進出し、ライチョウを襲っているという。

ウソとライチョウの関係はどうだろう?ともに神の使いであるから、仲よく共存してほしいものだ。

2023年8月16日水曜日

不帰ノ嶮(かえらずのけん)(1)唐松岳・八方尾根を登る








 山の日(8月11日)からお盆の間、不帰ノ嶮(かえらずのけん)を縦走した。

不帰ノ嶮は、後立山連峰の唐松岳と白馬岳の間にある険しい難所。文字どおり、一度行ったら帰れないのいう。大キレット、八峰キレットとともに日本三大キレットの一つ。

台風6号が九州の西方海上を抜けた翌日、山の日(8月11日)に福岡を出発した。天気予報では8月14日(月)にはつぎの台風7号が名古屋あたりに直撃するとの情報をつたえていた。

不帰ノ嶮は、北(白馬岳)側から、天狗の大下り、不帰ノキレット、不帰Ⅰ峰、不帰Ⅱ峰の北峰、南峰、不帰Ⅲ峰を経て唐松岳に至る。つまり、北から南へ向かうのが正順とされる。

一番の難所は、不帰Ⅱ北峰の北面である。難所は登ったほうが安全性が高い。状況を視界におさめつつ行動できるから。野球でもサッカーでも、ボールは身体の真正面でコントロールしなければならないとされるのは、おなじ理屈だ。

ところが、台風が接近していたので、1日節約できる唐松岳から北上するコースを選んだ。一番の難所が下りになる。安全な足場が見えにくいので危険だ。だいじょうぶか。

初日は白馬村に泊まる。宿の窓から白馬三山が見えている。雄大な絶景だ。

8月12日(土)、八方尾根を登る。ゴンドラとリフトを利用して八方池山荘まで達する。そこはもうお花畑である。ハクサンシャジン、マツムシソウ、ウメバチソウ、カライトソウ、オトギリソウ、シモツケソウなど。まさに百花繚乱。心躍る。