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2011年12月7日水曜日

「我が敵は我にあり」(3)



 というわけで、ふつうの暴力団関係事件は
 暴力団が暴行・脅迫など違法行為をしています。

 しかし今回はちがいます。
 暴力団員が借主だというだけです。

 家賃はきちんと支払っていますし、その他
 借主としての一般の義務に違反しているわけではありません。

 福岡県の条例に定めがあり、県警のホームページに名前が出ている
 それだけで物件から出て行ってもらえるのか?

 契約書を確認すると、借主が暴力団員と判明したときなど
 契約を解除することができるとあります。

 判例を調べてみると
 同種事案で契約の解除を認めたものがありました。

 なんとかいけそうなので
 お引き受けすることにしました。

 まずは先の契約条項にもとづき契約を解除するので
 建物を明け渡して欲しい旨の手紙を出しました。

 自分が脅されるのはイヤですが
 家主さんに矛先が向くのはもっと困ります。
 
 家主さんには自分で対応しないよう、なにかあったら
 すぐに警察を呼び、こちらにも連絡するよう指導します。

 しばらくして相手から電話がありました。
 おおむね退去するとの意向でした。

 なんどかやり取りし、なかなか退去の念書が来ませんでしたが
 ようやく条件もととのい、退去してくれることになりました。

 漱石の『門』じゃないですが、衝突は回避され
 一件落着です。

 正直、暴力団員を相手とする事案は
 気がすすみません。

 でも一般の方が自分で話をするのはどのような危害を
 くわえられるかわかりませんので、やむを得ません。

 みなさんが地域から暴力をなくそうとするかぎり
 お手伝いしていきたいと思います。

2011年12月6日火曜日

「我が敵は我にあり」(2)



 私が弁護士になったころは、暴力団員が一般民事事件に
 介入してくることがよくありました。

 月に一度くらいは暴力団員と「引き合い」になりましたし
 彼らも自分たちのことを「裏の弁護士」と呼んだりしていました。

 とくに弁護士がいない地域における「裏の弁護士」の需要は高く
 そんな地域の紛争では「引き合い」になることが多かったです。

 (この意味でも、地域に弁護士がいることが
 大切なんですね。)

 いったん「引き合い」になると、いわゆる夜討ち朝駆けで
 朝と夕方、必ず脅迫めいた電話がかかってきました。

 そうした心理的負担から
 事件数が倍増したような気持ちになりました。

 あるとき、養育費の請求について、妻が暴力団員に取立てを依頼
 夫からその交渉を頼まれたことがありました。

 まずは暴力団事務所へ来い!といわれるところ
 そこまではよう行きませんと正直に対応します。

 そのうえで、市内の老舗ホテルのロビーで
 交渉することになりました。

 行ってみると、白いエナメルの靴を履いたいかにもという方々が
 ずらりとソファに並んでいます。

 喫茶室に行き、コーヒーを注文しますが
 手もとが震えるといけないので、飲めません。

 店員のひとたちも
 気の毒そうな目で見ています。

 相手方の要求は、養育費月3万円、年間36万円、20年弱分700万円
 を一括で支払えというもの。

 依頼者にそのようなお金はありませんし、養育費は子どもの権利なので
 一括して支払っても後に子どもからの請求を拒絶できません。

 それで、月々3万円の支払いしかできない
 と頑張ります。

 しばらく押し問答がつづいたのち
 しゃあないなぁと分割払いで話がつきました。

 2,3か月してから、また先方から電話
 元依頼者(夫)が支払いを怠っているとのこと…。

 やむなく先方に代わり、元依頼者にたいし
 ちゃんと支払うようにと厳しく注意する電話をしました。

 なんか暴力団員の手先となって
 取立てをしている気分に。

 こうしてそれから2年くらい、滞るたびに
 元依頼者に電話をしたのでした。

 2年たって暴力団員の電話はなくなりましたが
 元依頼者がきちんと支払いを続けたわけではなさそう。

 そのころ、有名な広域暴力団どうしの抗争があって
 自分の身が危なくなり、取立てどころではなくなったのでしょう。

 その後、暴力団対策法が制定されたこともあり
 暴力団員が一般民事事件に介入してくることは激減しました。
 
 それでも時々はあります。
 最近は、いわゆるヤミ金(闇金融)事件がおおいですね。

 違法な金融業、違法な高金利、いずれも犯罪
 でもそんなところから借りてしまう人にもスキがあります。

 交渉で解決することがほとんどですが
 ときにいつまでも引きずることがあります。

 交渉で解決しないときは
 刑事事件として対応するしかないです。

 いちばんは、このような人たちと一切関わらないことですね。
 (あまりにまっとうなまとめですみません。)

2011年12月5日月曜日

「我が敵は我にあり」



島田紳助さんが暴力団との交際を報じられて
芸能界を引退しました。

別に引退までしなくていいんじゃないの?という意見の人は
これまで暴力団に脅された経験のない幸せな人生だったのでしょう。

やはり一度でも暴力団に暴力をふるわれたり脅されたりした人は
当然のことと受け止めたことでしょう。

芸能界や放送業界が暴力団との関係を断ち切るということは
避けられないことだと思います。

よくある手法ですが、あるキャンペーンをおこなう際に
象徴的な事例をとりあげることがおこなわれます。

(そのようなキャンペーンをおこなって世論操作をすることの
是非はここではおきます。)

島田紳助さんの事件も、誰かが一罰百戒的な効果をねらって
演出したのかもしれません。

紅白出場に当たり、芦田愛菜ちゃんに、暴力団とは関係ないと
誓約書を書いてもらうのも、ま、そういうことでしょう。

と、対岸の彼女の対岸の火事と思ってブラウン管をながめていたら
此岸まで火の粉がとんできました。

2件の貸家オーナーさんから、自分の店子が暴力団関係者なので
貸家から立ち退きを求めたいと相談があったのです。

オーナーさんたちがそう考えられた経緯は
こうです。

福岡県でも暴力団排除条例を制定し(平成22年4月施行)
1 暴力団の排除に関する基本施策

2 青少年の健全な育成を図るための措置
3 事業活動における禁止行為

4 不動産の譲渡等に関する遵守事項
を定めています。

これにより、暴力団排除協定・措置として、暴力団構成員が
事業経営に参画していることを自治体に通報、HPに公表。

これをマスコミが報道しますから
事実を知った大家さんがビックリして相談に来られます。

不動産の譲渡等に関する遵守事項のなかに
暴力団事務所としての使用が判明したときは解除に努める、とも。

大家さんとしては
自分の物件から暴力団を「排除」せざるを得なくなるわけです。

(すみません。始業時間になりました。続きはまた)

※本稿の表題は島田紳助さん作詞曲のタイトルより