ラベル 智恵子抄 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 智恵子抄 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2024年5月27日月曜日

源重之って誰?

 

 風をいたみ岩うつ波のおのれのみ
        くだけて物を思ふころかな  源重之

 風が激しいので、岩に打ち寄せる波が自分だけ砕け散るように、相手は平然としているのに、私だけが砕け散るような、恋の物思いをしていることよ。

百人一首48番の歌。昨日紹介した実方とともに陸奥国に下向し、同地で没したという。
父・兼信が陸奥国安達郡に土着していることから、実家に帰ったのかもしれない。


安達太良山の青い空がほんとうの空と指をさす智恵子像


中央が安達太良山

陸奥国安達郡は、高村光太郎の『智恵子抄』で有名な安達太良山の麓である。


鬼女が住んでいたという黒塚

安達太良山の麓には、安達ヶ原がひろがっている。安達ヶ原には黒塚がある。つまり、謡曲『安達原』ないし『黒塚』の舞台である。ストーリーはこう。

 阿闍梨祐慶ら修験者らは、諸国をめぐる修行をしていた。旅の途中、人里離れた安達ヶ原で日が暮れてしまう。一軒だけあったあばら家の女に一夜の宿を提供してもらうことになった。

 夜更け、女は薪をとりにいくと言って出かけた。出かける際、自分の寝室を覗かないよう女は一行に釘をさした。けれども、従者が覗いてしまい、そこにはおびただしい数の死骸が。あわてて逃げ出す一行を鬼となった女が追いかける・・・。

禁じられると破りたくなる。童話『みるなのくら』のよう。



さて、源重之の友だちに平兼盛がいた。兼盛はつぎの歌を詠んでいる。

 名取郡黒塚に重之が妹あまたありと聞きつけていひつかしける

 陸奥(みちのく)の安達ヶ原の黒塚に鬼籠もれりと言ふはまことか

兼盛が妹たちに贈った恋歌らしい。恋しいけれども娘たちを鬼に例えた。小学生か。

鬼女伝説が先か、歌が先か。両説あるようだ。

※現代語訳等は『ビギナーズクラッシック日本の古典 百人一首(全)』谷知子編によった。

2022年3月2日水曜日

白銀の安達太良山

 




 東北遠征の最終日は、安達太良山。やはり日本百名山である。

ひとくちに雪山といっても、厳冬期なのか残雪期なのか、日本海側か太平洋側かなど条件により、難しさはさまざまである。

2月は厳冬期なので、一般には天候が安定せず、むずかしい。東北遠征はいちおう4峰を計画しているものの、まあ2峰に登れれば御の字と考えていた。蔵王、西吾妻、磐梯と3日連続で登り、疲れもたまってきていた。

天気は、前々日まではC判定であった。ところが、前日夕方になってA判定に急変した。これはもう呼ばれているにちがいない。

山は高村光太郎の『智恵子抄』で有名である。駅前には智恵子の像がたち、青空を指さしている。途中、「この上の空がほんとの空です」と書かれた道標もある。夏場には女性に人気の山である。

智恵子のお告げのおかげか、快晴になった。青が濃く、安達太良ブルーである。山頂付近は西風の厳しさをうかがわせるエビのしっぽだらけだった。道標もエビのしっぽに襲来されて、判読できない。

安達太良山は別名、乳首山という。由来は、山頂部の形状にある。最後の写真を参照してほしい。解説は省略。東北には乳頭温泉もある。よほど好きなのだろう。

2021年5月12日水曜日

安達太良山・登山記


 

 

芭蕉一行は二本松より街道を右に切れて安達原・黒塚に行ってしまわれました。われわれは師匠にちょっと待ってもらい、街道を左に切れて安達太良山に向かいましょう。

安達太良山?どこかで聞いたことがある・・でしょ。高村光太郎の詩集『智恵子抄』の「あどけない話」にでてきます。

 智恵子は東京に空が無いという
 ほんとうの空が見たいという
 ・・・
 智恵子は遠くを見ながら言う
 阿多多羅山の山の上に
 毎日出ている青い空が
 智恵子のほんとの空だという・・・

安達太良山には夏2回、冬2回登りました。そのうち晴れていたのは半分の2回。智恵子さんは安達太良山の山の上に青い空が毎日出ているとおっしゃっていますが、僕の経験上は2日に1回というところです。

二本松駅前では、智恵子さんが空を指さしています。詩集のイメージからすると、こころもち体格がよろしいようです。

駅から30分ほどバスに乗ると岳温泉に着きます。温泉は帰りのお楽しみです。そこからさらにバス20分で、奥岳・あだたらスキー場に着きます。そこが登山口です。

智恵子ファンのかたがたでしょうか。こころもち年配のご婦人がたのグループが多いような気がします。

登山口から道は二手に分かれます。右回り、左回り、どちらでもよいのですが、左回りはゴンドラリフト「あだたらエクスプレス」が使えます。が、われわれは右回りで行きましょう。

勢至平を経て2時間ほどで、くろがね小屋に着きます。日程に余裕がある人はぜひ泊まりましょう。温泉につかれます。つかれた体によいです。

翌日、峰の辻、牛の背を経て1時間ほどで山頂に到達。山頂はあるものに見えることで有名です。なにに見えますか。・・・安達太良山は別名、乳首山と呼ばれています。

九州人はシャイなので、九州の山にはそのような呼称はないように思います。でも東北人はきっと大好きなのでしょう、乳頭温泉とかもありますし。

山頂から薬師岳・あだたらエクスプレスの山頂駅まで1時間ほどです。ふきんは五葉松平と呼ばれ、五葉松がたくさん生えています。

五葉松平には「この上の空がほんとの空です」と、二本松市の標識がたてられています。なかなかよいユーモアです。残念ながら、この写真を撮影した日は曇っていて、ほんとの空は見えませんでした。

夏もよいのですが、やはり冬の美しさは絶品です。芭蕉はちょっと苦手という方で、でも智恵子なら好きという方、ぜひ一度どうぞ。