2023年11月30日木曜日

U弁護士の事件簿①-黒百合事件

 
 
 わが事務所にはオンラインのスケジュールボードがある。7人の弁護士、9人の事務局の予定が一覧できるようになっている。

これにより、各弁護士のスケジュール管理、事務所会議、弁護士会議、事務局会議、共同受任事件など複数弁護士・事務局の日程調整や新規相談の担当決めなどを行っている。便利だ。

本日をみると、顧客との相談や打合せのほか、U弁護士が破産債権者集会、TN弁護士が精神保健審査会、TM弁護士があいゆう電話相談、M弁護士が芝居の稽古などで外出することがわかる。

TN弁護士らのボードにはアスベスト訴訟、TM弁護士のボードにはHPV訴訟や結婚の自由訴訟などの用事が書き込まれていることが多い。

かように、ボードには相談者・依頼者の名前や、事件名、参加する団体・行事名などが多様に記載されている。

忘れるといけないから、公的な行事だけでなく、私的なイベントも書き込んでいる。つまり、プライベートもある程度、事務所内では筒抜けである。

そんなある日。U弁護士のスケジュール欄に、12月1日9時から「黒百合」と書き込みがなされた。黒百合?黒百合様だろうか、黒百合事件だろうか?

なにか不穏なにおいがする。黒歴史とか黒執事とかに連なる。花言葉には呪いというのがある。あまりよい印象ではない。

秘書さんたちの間ではさまざまな憶測が流れた。あれはU弁護士がおつきあいしている女性の名前かもしれない。きっと悪い女にちがいない。・・

きのう夕方、そうした憶測がふくらんで頂点に達した。そしてついに、真相があかされた。「ああ、あれ? あれは山小屋の名前。」。えーっ。

黒百合は岳人の間で人気の高山植物である。他の高山植物のように、どこででも出会えるというものではない。希少価値が高いのである。

ここで「黒百合」というのは、八ヶ岳にある黒百合ヒュッテという山小屋の名前である。天狗岳の北側稜線沿いにある。八ヶ岳を縦走する際、便利な小屋である。

https://www.yamatan.net/hut/kuroyurihutte

U弁護士はその小屋での年越しを計画していた。新年を雪山で迎え、初日の出を雪の稜線で拝したいと。

コロナ禍以降、山小屋は予約が必要である。その予約は1か月前からでないと、受け付けられない。その予約をするのを忘れないよう、12月1日9時の蘭に「黒百合」と書いておいたのである。

・・・けさ7時20分、ネット予約をすべく小屋の空き状況を確認した。すると、なんともう満室。

https://www.yamatan.net/hut/kuroyurihutte/plan?year=2023&month=12

うぐっ。岳人が考えることはみな同じ。しかも朝が早い。行動が早い。しかたがない、プランBを考えないといけない。

かくてきょうもU弁護士の孤独なたたかいは続くのだった(「孤独のグルメ」を踏まえて)。

                                   (つづく)

2023年11月29日水曜日

夜のウォーキング

 

 オマージュ、あるいはリスペクト。文学や芸術において、尊敬する作家や作品に影響をうけ、それを踏まえた作品を創作することをいう。ただし、踏まえて創作した作品のできばえがよいものにかぎる。できが悪ければ単なるパクリである。だからといって、なにを遠慮する必要があろう。

きのうのわがブログのタイトルは「マリンワールドよ、永遠なれ」。もちろん、スーザの有名な行進曲「星条旗よ、永遠なれ」を踏まえている。

https://www.youtube.com/watch?v=V-CCQ_p6XHE

むすびの文は「海獣たちのいるところ、水族館」。これも、モーリス・センダックの代表作の絵本『かいじゅうたちのいるところ』を踏まえている。

https://www.ehonnavi.net/ehon00.asp?no=537

そして、きょうのタイトルは、もちろん恩田陸の『夜のピクニック』を踏まえている。本屋大賞受賞作。

https://www.shinchosha.co.jp/book/123417/#:~:text=%E9%AB%98%E6%A0%A13%E5%B9%B4%E7%94%9F%E3%81%AE%E6%9C%80%E5%BE%8C,%E3%81%A0%E3%81%A8%E3%81%84%E3%81%86%E3%81%8B%E3%82%89%E9%A9%9A%E3%81%8D%E3%81%A7%E3%81%99%E3%80%82

さいきん夕食後、街を徘徊している。1日1万歩以上を歩くためである。例の職場内のウォーキンググループ加入がきっかけ。

およそ10分で1000歩、1万歩となれば100分歩かなければならない。通勤時だけで1万歩は無理だ。足りない分は夕食後に歩く。

夜だからリスクもある。暗くて段差や溝がわかりづらい。暴漢におそわれる確率もたかいだろう。でもそれを上回るメリットもある。

街に詳しくなる。いままで通過するだけだった十字路を曲がってみたり、脇道に入ってみたり。その結果、なじみのところにでてみたり。この道はここに通じていたのかなど。

9時-5時の仕事ではない職業の人たちに敬服する。飲食業はもちろん、歯科、整体、郵便配達、高校教師・学生、役場職員などの仕事は夜8時ころでもやっておられる。仕事帰りのサラリーマンは助かるだろうけど、たいへんだろうな。

車は多い。救急車にはよくでくわすが、パトカーは昼間よりずっとすくない気がする。

ご同輩の人たちがいる。走っている人たちがいる。歩いている人たちもいる。一人で走っている人もいれば、カップルで歩いている人たちもいる。イアフォンで音楽を聴いていたり、スマホの画面をながめながらの人たちは、ちょっと心配である。

家々の窓からオレンジ色の灯りがもれている。一家団欒なのだろう。ときには肉じゃがやすき焼きのにおいが流れ出てくる。

夜の空は真っ暗とはかぎらない。ダークブルーの空にうすい雲がたくさん浮かんでいたりする。山影もくっきりみえている。冬にむかい、空気もピンと澄んでいる。よしあと3000歩だ。がむばろう。

2023年11月28日火曜日

マリンワールドよ、永遠なれ

 





 マリンワールドへ行った。ひさしぶり。数十年ぶりか。

立地がいい。志賀島へ至る海の中道にあるのがいい。博多湾のむこう、海の中道。まさに竜宮城へ行く途中のようだ。

あいかわらず、クラゲには癒やされた。シンプルなのがいい。シンプルでありながら、なにか深淵な言葉を語りかけてくるのがいい。

魚のディスプレイも昔とちがう。新しいやつが目をひく。里山の自然と海の自然がつながっている。そういうことを教えてくれる。

魚類もいいが、やはり人類にちかいほうが、より親しい。人類からはやや遠いが、ペンギンがならんでいると、兄弟でおでかけかなと思えてしまう。

アシカやイルカのショーもなつかしい。動物虐待が論議されるようになったせいか、ジャンプの回数が減ったようだ。華やかだけれども、きっと重労働なのだろう。

動物の人権享有主体性を肯定する判決がでる日もそう遠くないかもしれない。そういえば、むかし、奄美の黒うさぎ訴訟という環境訴訟があった。うさぎに裁判を起こせないと国の代理人が噛みついたところ、裁判長は「奄美の黒うさぎこと○○さん」なんでしょ?とかわした。

いちばん愛くるしいのはラッコ。愛嬌をふりまいていたが、これでもかなりの年輩である。ひとりというか、一匹だけ飼われている。なにか寂しげだ。

和歌山からもらわれてきたという。ワシントン条約の規制も厳しくなり、動物園や水族館もそう簡単にメンバーの補充ができないのだろう。

海獣たちのいるところ、水族館。いつまでも続いて欲しいが、イルカやラッコたちにも幸せでいてほしい。

2023年11月27日月曜日

わが事務所の新人弁護士指導

 

 わが事務所に新人弁護士が入所する。これで総勢8人に戻る。女性弁護士である。迫田登紀子弁護士の司法修習生だった。弁護修習の際、迫田弁護士の仕事ぶりに惚れて、わが事務所に入所となった。

他方、わが事務所は2年に一度担当替え兼席替えがある。担当替えは、弁護士と事務局の組合せを替えることである。席替えは、1階か2階か、どの弁護士とどの弁護士が1階かとかに関する組合せを替えることである。風通しをよくするために、民族大移動を行う。

これらの事情が重なって、新人弁護士の指導係をおおせつかった。富永弁護士が「直属の上司」であるから細々なことは彼にまかせる。ぼくのほうからは弁護士としていかに生きるべきかといった大局的な話をしていきたい。

とは言っても40年という年齢差がある。世代間ギャップがはなはだしい。よかれと思って言ったことがまったく逆の意味にとられることがないではない。このようなことは若手の弁護士を指導する際にこれまでも感じてきたことだ。

なにせ、われわれは「巨人の星」、「タイガーマスク」、「あしたのジョー」、「アタックナンバーワン」、「俺は男だ」、「エースをねらえ」などをみて育った世代である。

指導相手が言うことを聞かなければ、鉄拳だってくらわせるし、ちゃぶ台だってひっくり返す。もちろん、いまどきそんなことはしないが気分はそうである。

しかし、それだけで指導がうまくいくということはない。高まった緊張をほぐさなければならない。どうするか。夕陽にむかって、砂浜をいっしょに走るのである。えいほ、えいほ、えいほ・・・。これにより毎回、高まった緊張はほどけ、結束がたかまっていくのである(お約束)。

新人弁護士にこのような昔ながらの考えや方法が通用するだろうか。はなはだ不安である。そう思って、いまの若い人たちがどんな番組をみて成長しているのか、秘書さんたちに訊いてみた。

ポケモン、セーラームーン・・。そうか魔法系か。しかし新人弁護士さんはこれらテレビ番組をみて育っただろうか。それともいまはやりのYouTubeとかTik Tokだろうか。ますます不安である。近くに砂浜がほしい。

2023年11月26日日曜日

あはれ今年の秋も去ぬめり

 



 四王寺山を散策した。ことしの紅葉もこれで最後だろう。

夏、酷暑がつづいたため、どこも色づきはよくない。紅葉は昼夜の寒暖差によって緑から赤あるいは黄に変わる。

ことしは紅葉するまえに霜がおりたりして、赤あるいは黄に変わらないまま茶色になり落葉してしまっている。残念。それでも写真のとおり、紅葉を楽しむことができた。

夕方のニュースでは竈門神社の紅葉を推奨していた。たしかに。だがしかし天満宮前の渋滞等を考慮して四王寺山へむかうことにした。

宇美町側(北側)から四王寺山に入ってくると、すぐ百間石垣がある。車でも行くことができる。わずかながらも駐車スペースがあり、いつも数台の車が駐車している。

その手前を左折すると、鮎返りの滝がある。三十三所めぐりの20番札所となっている。滝の上部から小石垣手前の川べりまで紅葉が美しい。数組の女性グループが一生懸命、写真を撮っていた。

つぎにお奨めなのは高橋紹運の墓のあるあたり。太宰府側(南側)から四王寺山へ入っていく。くねくねと坂をあがると、右手に岩屋城跡の標識がある。

戦国末期、九州制覇をめざす島津軍4万人が北上してきた。これに対するは大友宗麟の配下である高橋紹運とその部下700人。高橋紹運らは岩屋城にたてこもり玉砕した。

いつもなら岩屋城跡に登り、そこからの筑紫平野のながめが気持ちよい。しかしきょうはそちらにむかわず、左手を100メートルほど降りる。

そこに高橋紹運の墓がある。高橋紹運の子は柳川藩主である立花宗茂である。立花家は柳川城主として江戸期を全うした。そうしたこともあり、墓はいまもきれいに整備・清掃されている。

その手前にモミジの巨木が数本あり、みごとな紅葉をみせてくれる。ことしは赤ではなく黄色のままだ。

来年はどうだろう。地球温暖化の勢いはとどまるところをしらない。紅葉の見事さは年々失われることになるだろう。残念ながら。

2023年11月23日木曜日

所在等調査ー北海道出張中止

 


 きょうから3日間、北海道出張を予定していた。しかし、北海道の週末は暴風雪など大荒れの天気予報だ。

家庭裁判所で、ある遺産分割調停をおこなっている。調停に出席していて意向がはっきりしている当事者の間ではほぼ合意が成立したけれども、欠席していて一部の当事者だけ意向がはっきりしない。家庭裁判所は調停にかわる審判をおこなった。

「調停が成立しない場合であっても、裁判所が当事者の様々な事情などを考慮して、審判の形で一定の解決を示すことが相当だと判断した場合には、調停に代わる審判の形で結論が示されることもあります。この審判に対して2週間以内に当事者から異議が申し立てられることなく確定した場合、審判は確定判決と同一の効力をもち、異議が申し立てられた場合には、その審判は効力を失うことになります。」(裁判所HPより)

ところが、この審判書が届かない。一般論として審判が確定すると強制執行をおこなうことができる場合があるので、審判書の送達は特別送達の方法による。書留郵便の厳格なやつだ。当事者本人でないと受け取れない。

当該住所にいることは確かだけれども、受け取らないだけという場合がある。この場合、所在調査が必要になる。相手方の住所に尋ねていって、水道メーターが回っている、洗濯物が干してある、近所の人の話で住んでいることは確かだとか報告書を提出することになる。

今般はどうもそうではないらしい。親族のお話によると、どうも認知症を発症していて、どこか施設か病院にいるらしい。しかも、そのかたの住所は北海道だ。遺産分割だからだいたいの当事者は九州在住だったのだけれども、そのかただけどういうご縁か北海道に住所があった。

裁判所から特別送達が届かない事情について調査を命じられた。期限は12月上旬だ。

相手方の近所のかたや、ご親族に電話や手紙を出して、その辺の事情をうかがった。しかしはっきりしない。もしくは、ご返事がない。役所等に問合せようにも、昨今は個人情報の壁があつく教えてもらえない。

こうして、やむなく今週末、北海道出張を企画・断行しようとした。

そうしたらなんとドラマのような展開。ギリギリ一昨日の夕方、ご親族のお一人から、お手紙のご返事が届いた。それにより、審判書が届かない事情が判明した。

北海道出張は急遽とりやめ。助かった。雪に弱い九州人が雪にまかれて凍死したのではあまりにもおそまつ。

このような事態はこれからさらに増えるだろう。こんかいは国内にいらしただけまだマシだったかもしれない。

2023年11月21日火曜日

わが法律事務所の電話保留音はいつ、だれによって替えられたのか?

 


 きのうわが事務所の電話保留音が話題になった。担当秘書さんが、ある依頼者からお褒めの言葉をいただいたというので。

知らなかったが、わが事務所の電話保留音は、ビートルズの「ヒア・カムズ・ザ・サン」らしい。

「ヒア・カムズ・ザ・サン」は、ジョージ・ハリスンの作詞・作曲。アルバム「アビイ・ロード」に収録された(1969)。

ジョージが会計士たちとの退屈な会議にあきあきして、親友のエリック・クランプトンの家の庭を散歩しているときに降りてきたという。ときは春、あたたかい日差しがここにやってきた。

この曲は前記依頼者が大好きだという。マイナーな曲なのによくぞ採用してくれたと感謝していたという。たしかめてみると、たしかにそうだ。

ここまで読んで「あれ?」と思わないだろうか。思ったかたは本ブログの「大ファン」の称号を差し上げたい。

じつは本年4月3日にこの話題を書いている。「家庭裁判所の電話保留音楽に脱落させられる」である。

http://blog.chikushi-lo.jp/2023/04/blog-post.html

家庭裁判所の電話保留音楽はファファファファーンとぬるい管楽器の演奏で、それに脱力させられるのだが、じつはその曲はベートーベンの「悲愴」だったという論旨である。

その際、T弁護士から追い打ちをかけられて調べたわが事務所の電話保留音はカーペンターズの「青春の輝き」だった。

あれから半年。いつの間にか、わが事務所の電話保留音がカーペンターズからビートルズへ、「青春の輝き」から「ヒア・カムズ・ザ・サン」に変化している。

いつ、だれがこのような変更を行ったのか?なぞである。なぞの探求はつづく。