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2022年10月26日水曜日

感謝ができる成長・幸せ


  うれしい電話があった。精神障害のため財産の管理が困難な人で、もう何年も成年後見人(正確には保佐人)をさせてもらっている。

直前に今後の状況について協議した。財産管理が難しくなる局面だったので、多少説教くさいことも申し上げた。

ところが電話の内容は感謝だったらしい(秘書さんが受けた。)。かれの成長を感じた。

われわれは基本的には同じ姿勢で事件に取り組んでいる。しかし相手方の性格やスタンス、客観的な状況等により、望外にうまくいくこともあれば、思ったほどにうまくいかないこともある。

望外にうまくいけば顧客はとても喜び、思ったほどにうまくいかなければ顧客はとても不満に思うはず。だがそうでもない。

ある顧客はうまくいっても、常に不満をおっしゃる。ある顧客はうまくいかなくても、感謝の言葉をのべられる。

幸せな人とは、夢や希望や強みを持ち、つながりと感謝を持ち、前向きかつ楽観的に、自分らしく生きている人。あるいは、自分を信じ、他人を信じて生きている人。

逆に不幸な人とは、夢や希望や強みを持てず、孤独で、うしろ向きかつ悲観的で、人の目を気にしすぎる人。自分を信じられず、他人を信じられない人だという(『無意識の力を伸ばす8つの講義』前野隆司著・講談社)。

ほんとうにそう思う。

写真は九重のリンドウ。花言葉は、悲しんでいるあなたを愛する、正義。

2017年11月19日日曜日

終活講話@筑紫野市地山地区民生委員児童委員協議会

(宝満山~仏頂山のブナ)

 やや旧聞ですが,平成29年11月9日(木)13時30分~カミ-リア2階介護研修室にて「終活についての講話」をしました。対象者は,筑紫野市筑山地区民生委員児童委員協議会のみなさんです。筑紫野市心配ごと相談員の学習会でのご縁から,永渕会長さんから声をかけていただきました。

 このような講演のご依頼を受けて話をさせていただきます。私が弁護士になったころは,遺言と相続のことを話すだけで十分でした。でもさいきんは,少子高齢化社会を背景として,社会的関係や家財の整理,お墓や葬儀の準備,成年後見制度やエンディングノートまで含めたところでの終活についてお話をすることが多くなっています。

 われわれが幸せになるためには,なにが必要か,どうすればいいのか。お金が無関係ではありませんが,お金で幸せは買えないことはいうまでもありません。民法の定める遺言や相続制度は,あくまで死後における財産に関する解決指針でしかありません。認知症による判断力の低下に対する対応や,その他のことについて別途考えなければなりません。

 ちくし法律事務所では,年に6回ほど法律セミナーを催し,エンディングノート(特製)の考え方や綴り方について話をしています。みなさんも興味があれば,お声がけください。少人数の集まりから話をさせていただきます。遠慮なくご相談ください。
                            H.U.

             


 


2016年3月12日土曜日

「成年後見」と「任意後見」


日本は、少子化が進み、高齢者の割合が増えています。


・お父さんが知らない人にお金を渡しているみたい

・お母さんと同居している兄がお母さんのお金を勝手に使っている

・お母さんが家を尋ねてきた人から高い布団を買ってしまったなど

ご家族のことでご相談に来られる方も増えている印象です。


加齢にともなって、前は出来ていたことや判断出来ていたことが出来なくなるのはやむを得ない部分もありますが、トラブルになりやすいのも実情だと思います。


そのようなときに活用できるのが「成年後見(法定後見)」という制度です。

これは、判断能力が十分ではない人に代わって財産管理等をする人を選任する制度です。

他方、判断能力はまだあるのだけど、今後が不安という場合もあります。

そのようなときに活用できるのが「任意後見」という制度です。

これは、将来判断能力がなくなったときに備えて、援助する人を選んでおく制度です。


どちらの制度を用いるかは、個別的な判断になります。

私たちは、申立て方法のアドバイスや後見人候補者になる等のサポートを含め、その方にとってよりよい解決方法を提案したいと考えています。


大切なご家族を守るためにもこれらの制度の利用を一度ご検討してはいかがでしょうか。

2016年1月14日木曜日

相続人の不存在と特別縁故者に対する相続財産の分与



現在,福岡家庭裁判所から依頼を受け,ある方の成年後見人になっています。
その方には相続人がいません。

民法上,相続は,遺言を書かなければ,法定相続ということになります。

法定相続の場合,相続人の定めがあり,配偶者,子,その代襲相続人(孫など),子がないときは両親,両親が亡くなっているときは兄弟姉妹,その代襲相続人(甥,姪まで)となっています(民法886条~890条)。

そのため,妻側のそれ以外の親族,夫側(義理)の両親,兄弟姉妹,その代襲相続人(甥,姪)などの親族がおられたとしても,その方々は相続人ではないことになります。

そのようなときは,相続人が不存在であるということになります。その場合,家庭裁判所により相続財産管理人が選任されます(民法952条)。

相続財産管理人は,相続債権者や受遺者に支払いを行い,相続人を捜索します。
これにより,相続人が見つからず,相続財産が残ったときは,国庫に帰属することになります(民法959条)。

これは先ほどのご親族や被相続人に縁故のあった方々からすると,まことに残念な結論です。
そこで,例外が用意されています。それは次のような場合・方々です。

①被相続人と生計を同じくしていた者,②被相続人の療養看護に努めた者,③その他被相続人と特別の縁故があった者。

このような場合・方々には,その請求により,家庭裁判所は,相続財産の全部又は一部を与えることができます(民法968条の3)。

法律の条文に枝番がついているときは,あとから法改正がおこなわれたことを示しています。
本条文も,枝番がついているので,あとから法改正がおこなわれたものです。

東京家裁審判,平成24・4・20(判例時報2275・106)は,これを認めた事例判決です。

生前や死後の縁故の程度に応じて,被相続人の相続財産総額1億4000万円の預金のうち,被相続人の義理の姪に500万円,義理の従姉妹に2500万円をそれぞれ分与しています。

法定相続(人)制度の硬直性を事案に応じて具体的妥当性を図った判断といえるでしょう。
遺言の作成により,生前に問題に解決することが望ましいことはいうまでもありません。

2011年1月9日日曜日

 春の雪



 きょうは成人の日
 新成人のみなさん、成人おめでとうございます。

 わが家にも新成人がいるのですが
 まだまだ子ども、大丈夫でしょうか…。

 ま、かくいう自分も大人になったなぁと自覚したのは
 結婚して第1子が生まれたあたり(26歳)だったので
 子のことばかりはいえません。

 この正月も実家に帰っていた際、ちょっと外出して
 戻りが遅くなったところ、心配した親から携帯に安否確認
 親からすれば、いつまでたっても子ども(51歳なのに)。

 「ノルウェイの森」の直子も
 「私、二十歳になる準備なんて全然できてないのよ。変な気分。
 なんだかうしろから無理に押し出されちゃったみたいね」
 と当惑しています。

 でも早く大人になりたいというむきもあるし
 いつまでも子どもでは社会がなりたたないので
 昔から成人(元服)制度が存在するわけです。

 民法上年齢20歳をもって、成年とされています(4条)。

 未成年者の法律行為は親の同意がなければ取消すことができる(5条)
 として保護されていましたが、大人になれば保護されなくなります。

 クレジット販売を悪用した街頭での長期間にわわるエステ販売や
 高額な英語教材のだまし売りなどはこの制度で救済できるのですが
 これからはそれもできなくなります。

 高齢者になって認知症がでてくれば、ふたたび成年後見制度により
 保護されうるようになるのですが(843条)、まだだいぶ先のこと。

 結婚は、男18歳、女16歳からできるのですが(731条)
 成人になれば父母の同意が要らなくなります(737条)。

 犯罪(刑事事件)もこれからは少年法ではなく
 大人として裁かれることになります(少年法2条)。

 成人のばあい、基本的に「罪と罰」という応報刑主義
 「少年時代」のような健全育成への教育的配慮はなくなります。

 さらに大事なのは選挙権
 衆・参の議員の選挙権を有することになります(公選法9条)。

 国会議員などの公務員を選定し、及びこれを罷免することは
 憲法が保障する国民の人権です(憲法15条)。

 むかしは選挙権がない時代、お金がないと選挙権がない時代
 女性には選挙権がない時代などありました。

 われわれ一人一人が平等に選挙権を有するようになったのは
 人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果です(憲法97条)。

 自由獲得の努力は往々にして命がけのものでした。

 このようにして獲得された人権はわれわれの不断の努力によって
 これを保持しなければならないと要請されています(憲法12条)。

 新成人のみなさんも先輩たちの努力におもいをいたし
 選挙権をはじめとする人権を大事にしてくださいね。

 さて今日はあいにく雪になってしまいました
 でも心配はいりません
 みなさんの門出に「春の雪」は良い兆しです。

 春の雪は、古代から米の花の前兆であり
 豊作を約束するめでたい吉兆ですから(折口信夫)。

 この祝言の心ゆえ、おおくの勅撰和歌集が、開巻第1の歌で
 春の雪をあつかっているわけです(丸谷才一「新々百人一首」)。

 三島由紀夫にも小説「春の雪」(「豊饒の海」第1)があり
 2005年に妻夫木聡くんと竹内結子さんで映画化されています。
 この機会にどうぞ。

 新成人のみなさんの前途にも妻夫木くんと竹内さんたちのように
 いろいろな困難がまちうけていると思います
 そんな春の雪が豊作(豊饒の海)をもたらすことを願ってやみません。