【事例1】エスエイロジテム(時間外割増賃金)事件
株式会社Yでは、月間の総労働時間数について、174.48時間とし、それを超える部分を時間外労働として取り扱っている。このような運用は認められるだろうか。
【事例2】スタジオインク事件
株式会社Yの就業規則には、所定労働時間が1日8時間、1週間40時間とされ、所定休日は、日曜日、国民の休日、年末年始(12月29日から翌年1月4日まで)、土曜日、その他会社が必要と認めた日及び夏季休暇(3日間)とされ、これによると平成18年の所定休日は122日となっていた。月平均所定労働時間は何時間になるだろうか。
【解説】
割増賃金(残業代)は、時間単価×残業時間×割増率で計算する。
時間単価は、月給制の場合、月給の基礎賃金額÷月平均所定労働時間数で計算する(労基則19条1項4号)。
月平均所定労働時間の労基法上の上限値は、173.80時間(閏年174.28時間)である。
・閏年以外
週40時間×52週(364日分)=2080時間(①)
40時間×1週÷7日(残り1日分)≒5.7時間(②)
①+②=2085.7時間(365日分)÷12か月=173.80時間
・閏年
週40時間×52週(364日分)=2080時間(①)
40時間×1週÷7日×2日(残り2日分)=11.42時間(②)
①+②=2091.4時間(366日分)÷12か月≒174.28時間
【事例1】のように、労基法上の上限値を超過している場合や月平均所定労働時間が不特定である場合、労基法上の上限値を月平均所定労働時間として計算する。使用者側に最も有利な時間であるため、労働審判等で争点を減らす目的で、初めから労基法上の上限値で請求する場合もある。
【事例2】のように、就業規則において所定休日等の規定がある場合には、実際の月平均所定労働時間を計算した方が労働者に有利である。
≪計算式≫
(365日-122日)÷12か月×8時間=162時間
【発展】※専門職向け
【判例・裁判例】
■最高裁判所
■高等裁判所
■地方裁判所
①東京地判平成12年11月24日・労判802号45頁(事例1)
②東京地判平成23年10月25日・労判1041号62頁(事例2)
【参考文献】
■調査官解説
■条解・コンメンタール等
■裁判官・元裁判官
①岡口基一711~712頁
■立案担当者見解
■学説
■弁護士・その他
①渡辺輝人131~140頁
富永
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