2026年5月16日土曜日

【労働問題・コラム】割増賃金の基礎とならない除外賃金② 通勤手当

  【事例】大島産業ほか(第2)事件

 株式会社Yでは、もっぱら従業員の手取り額を増やすために、賃金の一部を「非課税通勤費」名目で支給するようになり、本店敷地内にある寮に寝泊まりするXらにも一律で「非課税通勤費」として月1万1000円を支給していた。通勤手当は、割増賃金(残業代)を計算する際の時間単価(賃金単価)に含まれるだろうか。


【解説】

 家族手当、通勤手当、別居手当、子女教育手当、住宅手当、臨時に支払われた賃金、一箇月を超える期間ごとに支払われる賃金の7つは、割増賃金の基礎となる賃金には算入しない(労基法37条5項、労基則21条)。

 割増賃金額が個人的な事情で変化するのはおかしいという考え方から除外されたものである。

 手当の名目ではなく、実質で判断される(昭和22年9月13日発基17号)。

 【事例】では、通勤を要しなかった長距離トラック運転手に対しも「非課税通勤費」が支払われていたこと等の実質を踏まえて、基礎賃金に含まれると判断された。




【発展】※専門職向け


【判例・裁判例】

■最高裁判所

■高等裁判所

①福岡高判令和元年6月27日・労判1212号5頁(事例)

■地方裁判所

②福岡地方裁判所平成30年11月16日・労判1212号12頁(裁判例①の原審)


【参考文献】

■調査官解説

■条解・コンメンタール等

■裁判官・元裁判官

①岡口基一『要件事実マニュアル第4巻 消費者保護・過払金・行政・労働(第7版)』(2024、ぎょうせい)711頁

■立案担当者見解

■学説

■弁護士・その他

①渡辺輝人『最新テーマ別[実践]労働法実務5 残業代の法律実務』(2024、旬報社)192~204頁


富永

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