2026年3月31日火曜日

【労働問題・コラム】賃金債権の放棄・賃金減額の合意

 【事例1】シンガー・ソーイング・メシーン・カンパニー事件

 株式会社Yに雇用されたXは、退職に際し、「Xは、株式会社Yに対し、いかなる性質の請求権をも有しないことを確認する」旨の記載のある書面に署名して株式会社Yに差し入れた。Xは退職金の請求をすることはできないのだろうか。

【事例2】更生会社三井埠頭事件

 株式会社Yは、管理職従業員Xらの賃金を20%減額するとの通知をした。Xらは、賃金減額を甘んじて受け入れるしかないのだろうか。


【解説】

 労働契約関係は、労働者と使用者が対等な立場で合意によって成立させ、内容を定めるべきものである(労契法1条、同3条1項)。そのため、契約内容(労働条件)の変更も、それら当事者の合意によるべきことが原則である。

 では、合意(ないし労働者の意思表示)があれば、いかなる労働条件も変更可能か。

 例えば、経営危機に際し、役員や管理職等が報酬や賃金の一部を返上する措置がとられることがある(裁判例④)。経営危機に瀕した企業が個々の労働者の同意を取り付けて賃金減額を行う場合には、同意は労働者の自由意思に基づく明確なものであることを必要とし、とくに黙示の合意の場合にはその成立や有効性は容易には認められない(裁判例③⑤)。

 【事例1】のように、労働者が何らかの理由により賃金債権を放棄(賃金債務の免除、民法519条)する旨の意思表示をした場合でも、労基法24条1項に定める賃金全額払の原則の趣旨から、その意思表示が有効というためには、それが労働者の自由な意思に基づいてされたものであることが明確でなければならないとするのが判例(判例①②)である。




【発展】※専門職向け


【判例・裁判例】

■最高裁判所

①最小判昭和48年1月19日・民集27巻1号27頁(事例1)

②最小判平成15年12月18日・労判866号14頁(北海道国際空港事件)

■高等裁判所

③東京高判平成12年12月27日・労判809号82頁(事例2)

■地方裁判所

④大阪地判平成9年5月28日・労経速1641号22頁(ティーエム事件)

⑤東京地判平成20年1月25日・労判961号56頁(日本構造技術事件)


【参考文献】

■調査官解説

■条解・コンメンタール等

■裁判官・元裁判官

■立案担当者見解

■学説

①菅野和夫『労働法(第12版)』(2019、弘文堂)455~456頁

■弁護士・その他


富永

ちくし法律事務所の花見2026

 

 事務所で花見をことしもおこなった。場所はいつもどおり事務所の裏山にある二日市公園である。

 木曜日に偵察したところ全体としては3,4部咲き程度だった。が、天気予報をみると、翌週(今週)は天気が悪かったので、急遽、先週の金曜におこなった。

 そのため参加は11人。やや少ない。




 二日市公園は中央が広場になっている。そのまわりをぐるりと取り囲んで桜が植えられている。 

 偵察したときは、いまひとつな感じだった。が、木、金と天気がよかったので、開花が進んだ。南側の並木はこのとおり。いつもは北側に陣取るのであるが、ことしは南側に陣取った。

 先に行って場所を確保していると、おじさんから話しかけられた。おじさんは若いころ、夕方からおこなわれる会社の花見のために、朝10時から場所とりをさせられていたのだそう。むかしはおおらかだったよね。

 寿司を食べながら談笑。昼なので、アルコールはなし。

 そのむかし、ヤミ金から嫌がらせに寿司が大量に届いたことがあった。うちはさして困らなかったが、ご近所の寿司屋には多大な迷惑をかけた。

 ある事務局の家には桜の木があるそう。さいきんは近所の声がうるさいそう。花や葉が落ちて近所迷惑だというのである。そういえば、成年後見人として財産管理する物件についても、そのような苦情に対処することが多い。世知辛い。見目に美しい桜花についてもこうであるから、他は思いやられる。

 電車、レストランで泣き叫ぶ幼子にむけられる視線はきびしい。さいきんは温泉でも、オムツの外れていない幼子は入れない。社会から寛容の精神が失われていっている。これだから少子高齢化の流れはとまらないのだろう。

 あとで聞いた話だが、北側の桜は枝を切られただそう。高齢化で管理する人がいなくなったためという。少子高齢化社会の影響は花見にまで及んでいる。ビールは飲んでいないが、ほろにがい花見だった。

2026年3月30日月曜日

東北南部雪山遠征(10)磐梯山③

 

 いよいよ磐梯山の本丸の登りである。


 先行者が立っているのは火口壁の縁である。



 弘法清水小屋。標高1630m付近。まだ四合目だ。夏場は軽食販売があるが、冬はない。ここで冬場営業するとすれば命がけである。


 弘法清水からの長い長い登り。


 山頂標識。標高1816m。日本百名山である。


 山頂標識の裏は岩場になっている。こちらのほうが少し高い。


 山頂からは360°の眺望。南は猪苗代湖。野口英世が育ったところである。


 猪苗代湖の西は会津若松。『八重の桜』の舞台である。


 西は飯豊山。


 北西はさきほどの山頂標識が俯瞰できる。休んだり、記念撮影をしたり。その向こうは喜多方あたりだろう。ラーメンで有名な。


 北に桧原湖。その向こうは朝日連峰。

 
やや東は西吾妻山。


 北東は安達太良連山である。智恵子の青い空がある。


 名残おしいが、そろそろ山をくだろう。


 猪苗代駅から磐梯山の南面。

2026年3月29日日曜日

東北南部雪山遠征(9)磐梯山②

 

 イエローフォールの左手の尾根にとりつく。火口壁のなかでは比較的登りやすいといっても、急登である。ガシガシと登っていく。


 火口壁の稜線ちかくまで登ってきた。右手に火口壁の絶壁が間近にみえる。


 振り返ると、裏磐梯。左奥に桧原湖。人々はいまごろワカサギ釣りを楽しんでいるだろう。右端は西吾妻山。山腹にスキー場(グランデコスノリゾート)のゲレンデ模様∞がみえている。


 左手は櫛ヶ峰(1636m)。今年は雪がすくない。


 火口壁の稜線に到達した。ふう。ふだんならここで強風に見舞われるところだが、きょうは無風だ。おだやか。

 そして磐梯山の本体がようやく姿を現した。美しい。山頂までまだだいぶあるな。

2026年3月26日木曜日

東北南部雪山遠征(8)磐梯山①

 

 西吾妻山を下山し、山形県の米沢駅から福島県の郡山駅までは山形新幹線を利用した。

 郡山で一泊し、磐越西線で猪苗代駅へ。駅がちかづくと、右手(北側)に磐梯山が大きくみえてきた。まさしく♪会津磐梯山は宝の山よ~。ちなみに左手(南側)には猪苗代湖がみえていた。


 登山口は磐梯山の北側・裏磐梯スキー場である。ゲレンデ越に、磐梯山の北面火口壁がみえている。

 磐梯山は日本百名山、標高1816mの成層火山。猪苗代湖(南)側からみると富士山のようだ、会津富士とも呼ばれる。しかし北側はちがう。明治21年に大噴火し、山体崩壊を起こし、爆裂火口となっているからだ。 

 裏磐梯は、その際にできた300の湖沼群により美しい風景を呈している。


 ゲレンデトップまではリフトを利用させてもらう。登るにつれ、逆説的だが火口壁がどんどん高くなっていく。


 ゲレンデトップでふりかえると、きのう登った西吾妻山がきれいにみえていた。


 さて足もとをアイゼンやスノーシューで整えて出発だ。連休なので他の登山者も多い。


 手前の平面は銅沼(あかぬま)。夏期は池になっているが、冬は凍結して雪をかぶっている。その向こうに爆裂火口が障壁となっている。


 銅沼の上部をすすむ。氷が割れないか心配するが、いまはまだ大丈夫そうだ。


 爆裂火口の壁からは蒸気が噴出している。磐梯山は活火山として生きているのだ。地下あさいところでマグマがふたたび噴火しようかとうかがっている。


 爆裂火口の北壁をまっすぐに登るのは無理だ。垂直の壁になっているから。登山は山の弱点を攻めなければならない。弱点とは比較的緩やかな斜面である。左手、櫛ガ峰の手前に比較的緩やかな(とはいっても急登である。)尾根があるので、そこを目指す。


 爆裂火口であるから、中央部が吹っ飛び、まわりを火口壁で取り囲まれている。

 左手のほうにイエローフォールがある。氷瀑であるが、硫黄成分により黄色く氷結している。今季はいまひとつという噂だったので、寄らずに尾根に向かうことにした。

2026年3月25日水曜日

東北南部雪山遠征(7)西吾妻山②

 

 中間地点にある梵天岩。岩にエビの尻尾がたくさん付着している。雪の女王のお城のようだ。


 梵天岩を乗り越すと、向こうに西吾妻のピークがみえてきた。もうすこしだ。


 遠目には小さく見えていた樹氷だが、近づくにつれて大きくなった。まさにスノウモンスターだ。


 われわれに山頂を踏ませまいとするように立ちはだかる。


 スノウモンスターが小さくなると山頂部である。山頂部は風が厳しいので、樹氷のもととなる樹も大きく成長できないのだ。


 山頂部の向こうには磐梯山。その左手には猪苗代湖もみえている。明日のぼる予定だ。はたして、あれに登れるだろうか。
 

 磐梯山の東には安達太良山。明後日のぼる予定だが、いまのところ天気が悪そう。


 西には飯豊連峰。あの向こうは新潟県だ。山姥が住んでいる。


 絶景をみながら、昼ご飯。昼をすませたら、さあ戻ろう。


 吾妻山は東西に連なる連峰だ。東のほうには吾妻小富士、一切経山、家形山などの山々。西吾妻の陰になるため、雪はすくなめ。


 下り斜面の向こうは米沢盆地。その奥は朝日連峰。


 その東には、きのう登った蔵王連峰。感無量である。

2026年3月24日火曜日

東北南部雪山遠征(6)西吾妻山①


 蔵王を下山し、バスで山形駅に戻る。そこからは山形新幹線で米沢へ。車窓からは蔵王が美しく見えていた。

 米沢ではビジネスホテルで一泊。

 

 翌朝。バスで湯本駅へ向かう。途中、小野川温泉や白布温泉を通る。小野川温泉は小野小町ゆかりとアナウンスしているが、ほんとうだろうか。両温泉とも温泉タオル集め旅で訪れていたような気がする。時間があれば下山後に入浴したい。

 湯本駅からはロープウェイ。営業時間前からご覧のとおり長蛇の列。スキーヤー、スノウボーダーや登山者たち。連休だからやむを得ない。


 リフトで北展望台駅へ。北に米沢盆地を一望。奥は朝日連峰である。

 ここでアイゼンを装着する。スノウシューの人も多いが、きのうにひきつづき新雪ではなさそうなので、アイゼンで足りると判断した。


 北展望台駅からひと登りしなければならない。樹林帯の道を登っていく。


 吾妻山はやはり連峰となっている。山形と福島の県境。最高峰は西吾妻山、2035m。日本百名山。

 北展望台駅からひと登りで森林限界を抜け、中大巓1964mの中腹に出る。南方の展望が開ける。ここも樹氷林が見事である。


 近寄っていく。スノウモンスターとはよくいったもの、たしかに襲ってきそうだ。


 登山道はスノウモンスターたちの住処を縫っていく。


 振り返ると中大巓。


 ゆるゆると登っていく。紫外線がきびしい。日焼け止めとゴーグルもしくはサングラスはマストだ。花粉症のためマスクもしているので、たいへんだ。


 左手に梵天岩が見えてきた。ふう。