貸金ないし借金のことを民法上は消費貸借という。賃貸借などは借りたものをそのまま返すのに対し、消費貸借ではいったん費ってしまったうえで同額を返すので消費貸借という。
さらに準・消費貸借という契約がある。売掛金や損害賠償などを合意により消費貸借に切り替える契約である。元となる契約は売掛金や損害賠償だけでなく、消費貸借でもかまわない。意味がないように思えるが、たとえば4本の貸借を1本として管理できれば楽なのである。
AさんはB社に勤務していたところ、同社から1390万円を貸したから返せといって訴えられた。Aさんは借りていない。だから負けるわけないと思っていたところ、一審・福岡地裁では全面敗訴した。
Aさんは控訴し、福岡高等裁判所に係属した。Aさんはこの裁判を当職に依頼したいと申し入れた。AIによると、一審で敗訴した判決が控訴審で覆される確率は1~2割以下であるのが実情。このような歩留まりの悪い訴訟はできれば遠慮したい。しかしAさんの熱意に負けて受任することになった。
一審判決によると、B社はAに対し1390万円を4回に分けて貸した、令和3年11月30日350万円、令和4年3月25日425万円、令和4年7月8日105万円、令和4年9月30日510万円である。これを令和5年3月17日準消費貸借としたという。
その決め手というべき証拠は準消費貸借の契約書である。Aの署名と実印の押捺がある。実務ではこれはかなり固い証拠である。Aはこれに署名・捺印したことは自分であり、間違いないという。
そのほか4回分の領収書が提出されている。これにもAの署名と捺印がある。さらにB社の預金通帳が提出されている。ここから350万円、425万円、105万円、510万円の合計1390万円が引き出されている。
ガッチリ証拠を固められてしまっている。はたして、どうすれば一審判決を覆すことができるのだろうか・・・。
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