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2026年5月9日土曜日

【労働問題・コラム】労働時間の範囲⑦ 研修等への参加

 【事例】八尾自動車興産事件

 株式会社Yは、同社の業務として、60分程度の研修会を所定労働時間外に開催した。研修会に参加した時間は、労働時間に含まれるだろうか。


【解説】

 研修会等への参加は、業務との関連性が薄い会社行事等であっても、事実上の強制に基づく場合は、労働時間に当たることがある。



【発展】※専門職向け


【判例・裁判例】

■最高裁判所

■高等裁判所

■地方裁判所

①大阪地判昭和58年2月14日・労判405号64頁(事例)


【参考文献】

■調査官解説

■条解・コンメンタール等

■裁判官・元裁判官

①岡口基一『要件事実マニュアル第4巻 消費者保護・過払金・行政・労働(第7版)』(2024、ぎょうせい)708頁

■立案担当者見解

■学説

■弁護士・その他

①渡辺輝人『最新テーマ別[実践]労働法実務5 残業代の法律実務』(2024、旬報社)74頁


富永

2025年4月16日水曜日

ちくし法律事務所の春研修@唐津

 

 松浦川河口・舞鶴橋東から唐津城。気品があり美しい。

 春研修。わが事務所の毎年恒例行事。ことしは唐津で。2024年度の実績を振り返り、2025年度を展望する。1986年ちくし法律事務所創立以来の伝統であるから、もう40年になる。

 弁護士業界をめぐる激動のなか、当事務所がなんとかやっていけているのは、春研修の積み重ねのおかげである。


 虹ノ松原ごしに鏡山。松浦佐用姫伝説がある。姫は愛する人(狭手彦)の朝鮮半島での戦争への船出にあたり領巾を振り、悲しみのあまり石になってしまったという。万葉集にも歌が残る。

 松浦潟 佐用姫の兒が 領巾振りし 山の名のみや 聞きつつ居らむ


 唐津焼きだろう、曳山が飾られている。一番手前から赤獅子、青獅子、亀と浦島太郎・・・。

 唐津神社の秋期例大祭が唐津くんち。11月2~4日まで3日間おこなわれる。ユネスコの無形文化遺産。曳山は14台ある。本物は乾湿技法でできているので、ピカピカしている。


 翌朝ウォーキング。松浦川、松浦橋越しに十坊山。535.2メートル。佐賀と福岡の境である。


 唐津城の右手は唐津湾にうかぶ高島。宝当神社がある。文字どおり、宝くじに当たるご利益があるとされ、人気がある。


 城内橋。この右手に宝当桟橋がある。そこから高島まで定期船で10分。

 宝くじに当たる必要はないけれども、ことしもわが事務所が安泰でありますように。

2025年2月3日月曜日

社会保障制度@顧問会社セミナー(1)社会保障制度の歴史

 

 法律顧問をおひきうけしている訪問看護ステーションはるかの幹部社員むけにセミナー第4回をおこなった。

 テーマは訪問看護事業の背骨をなす社会保障制度。ただし、タイトルは訪問看護ステーションの乗る「箱船」としての社会保障制度とした。背骨というと頼れる屋台骨という感じだが、水に浮かぶ子の葉のように制度がガタついて毎年のように揺れ動いているからである。

 それは社会保障制度の歴史を概観するだけで明らかである。

 社会保障制度の歴史は、明治以降たかだか150年である。1874年、生活困窮者の救済に関する恤救(じゅうきゅう)規則にはじまる。

 実際のスタートは、第一次世界大戦後の1922年には健康保険法制定から。それからだとわずか100年である。健康保険はいまも、われわれ国民にとってもっとも身近な社会保障制度である。

 1946年制定の日本国憲法は社会権を保障し、まさに社会保障制度にバックボーンが与えられた。

 1950年、社会保障制度審議会勧告は、社会保障制度について、疾病、負傷、分娩、廃疾、死亡、老齢、失業、多子その他困窮の原因に対し、保険的方法又は直接公の負担において経済保障の途を講じ、生活困窮に陥った者に対しては国家扶助によって最低限度を保障するとともに、公衆衛生および社会福祉の向上を図り、もってすべての国民が文化的社会の成員たるに値する生活を営むことができるようにすることであると定義した。

 1961年、国民皆保険が実施され、1973年、老人医療費が無償化されるなど社会保障制度が拡充された。これにより、世界的にも評価される医療保険制度ができあがった。1973年は「福祉元年」と呼ばれる。

 だが皮肉なことに同年、第4次中東戦争を機にオイルショックが発生、経済が低成長となるとともに財政難が生じるようになった。社会的にも少子高齢化が進んだ。1980年ころはじまった新自由主義的な日本をとりまく国際環境にも影響された。

 その結果、社会保障制度は毎年のように、制度の見直しがおこなわれるようになった。それらは1980年代には社会保障制度の再編、1990年代には社会保障制度の構造改革、2012年以降は全世代型社会保障改革と呼ばれている。

 日本は病床数の多さ、入院期間の長さが世界的にみて問題とされ、入院医療を抑制し、在宅医療を推進するようになった。訪問看護事業の推進はその一環である。

 OECD対日審査報告は、医療制度改革に一節をさき、GDP増を上まわる医療費増加、老人医療費対応が鍵であるとした。2008年には高齢者医療確保法が実施され、先に無償化された老人医療も一部有償化された。同年の高齢化率が22%であった。高齢化は世界的にも例をみないスピードで進み、2065年の40%まで進むと見込まれている。

 今年2025年は団塊の世代が後期高齢者となり、医療・介護への需要が増大することが見込まれている。厚労省は、重度な要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、住まい・医療・介護・予防・生活支障が一体的に提供される地域包括ケアシステムの構築を急いでいる。

 これが美しい看板どおりなのか、医療費削減のための弥縫策にすぎないかは、運用の実態しだいだろう。今年から高齢者の仲間入りした者としては、前者であることを祈るばかりである。

2024年3月26日火曜日

弁護士の使命(1)

 

 ことし、わが事務所に新進気鋭の岡田弁護士が参画した。これで8人の弁護士、うち3人が女性という構成(37.5%)になった。まだまだというご意見もあろうが、社会一般、弁護士会全体の女性参画割合に比しまずまずの達成だろうと思う。

いまいろんな研修を受けてもらっている。思えばむかしは荒っぽかった。新人弁護士の研修制度など存在しなかった。「事件に飛び込んで自分で覚えろ」という感じ。

時代状況もある。ある先輩など、初めての仕事が2,000人の人々に対して演説をすることだったらしい。

自分が入ったころ、唯ひとりの先輩弁護士である稲村弁護士は事務所にいなかった。長崎じん肺訴訟をはじめとする数々の困難訴訟に取り組み、全国各地を飛び回っていたからである。

当職がはじめて手がけた事件は、近所の工務店の社長さんから依頼を受けた動産執行事件だった。動産執行とは建築資材等の差押えだ。

ご多分にもれず稲村弁護士は事務所にいない。事件処理の方法ほか、費用をいくらにするのかなどまったく五里霧中であった。弁護士費用を告げたときには、声がふるえた気がした。

それに比し、いまは研修制度が手厚く存在する。まずもって弁護士会が新人弁護士に対して多くの講座を用意している。わが事務所としても、多数のメニューを用意している。

まずすべての事件について、先輩弁護士と共同受任する。そして相談の仕方、受任の仕方、職務の遂行の仕方について、個別具体的な事件を通じて学ぶことになっている。On the Job Training(OJT)だ。そして少しずつ自立・自律をはかることになる。

あわせて座学も用意している。7人の先輩弁護士からのマンツーマン教育だ。4人の若い弁護士からは、交通事故事件や離婚事件のノウハウの話がなされる。こうして秘伝の必殺技も伝授される(かもしれない)。

残る3人の先輩弁護士からなされるのは、もうすこし高尚な話だ(いや、そのはずだ)。当職に振られた話題は「大規模集団訴訟について」。このことはすなわち「弁護士の使命」について話すということだ。

                                  つづく

2023年11月19日日曜日

事務所研修旅行@宮島・広島平和記念公園(1)

 





 事務所の研修旅行1泊2日へ行ってきた。行き先は宮島・広島平和公園。

初日は宮島。秋の安芸の宮島。日本三景の一つ。廿日市側・宮島口から頻繁に船が渡している。

乗船まえに腹ごしらえ。店はあなごめしうえの。店前は長蛇の列、予約していてよかった。炭火で焼いた香ばしい穴子のコースに舌鼓。柳川のうなぎと似て非なるところがおもしろい。昼から満腹。ぜいたく。

厳島神社が世界遺産に登録されている。本殿、拝殿、回廊などが国宝。海上に立つ朱塗りの大鳥居は日本三大鳥居の一つ。

祭神は宗像三女神である。宗像大社とおなじ神、というか宗像大社からやってきたらしい。福岡とご縁がある。三女神はアマテラスとスサノオの娘たち。海の交通安全の神様。

平清盛が安芸守となったことから隆盛した。日宋貿易船を大和田泊(兵庫港)まで導き入れる拠点でもあったという。ことし六甲山全山縦走を行った際、山上から遠望したのが大和田泊のあたりだったので感慨深い。

船の側面をみると伊都岐号というのがある。福岡県人からすると糸島?と思ってしまう。が、厳島はふるく伊都岐島と表記されたことによるようだ。

上陸すると、鹿がよってくる。子どもがおずおずとなでている。

宿である錦水館に荷物を置いて、表参道商店街へ。そしてやまだ屋で、もみじ饅頭づくり体験に興じる。単純作業だができばえに差が出てしまう。なにごとも奥がふかい。

饅頭づくり体験のあとは観光。ガイドさんは島一番らしい(自分で名乗ったのではない。通りすがりの他のガイドさんがそう紹介していた。)。ぼくがダジャレをいうとダジャレで返してきたから、そうとうの腕前と拝察した。

まずは旅の安全を感謝して道祖神社(幸神社)参拝。坂を登ると、五重塔がみえる。五重塔にまっすぐは向かわず、交流館へ。大杓子を見学。

そこから五重塔へ戻る。豊国神社(千畳閣)参拝。秀吉の死により未完。ここに入口ができるはずだったという空間が秀吉の夢の挫折を際立たせている。

厳島神社は5回目くらいだが、ガイドさんつきでは初めて。先達はあらまほしきものなり。NHKの2時間でめぐる厳島神社で予習していたものの、いろいろと知らないことを教えていただいた。ガイドさん、ありがとう。

2023年1月12日木曜日

香りの世界

 


 わが法律事務所ではときどき外部講師をお招きして研修を行っている。先日はレクリェーションを兼ねて、講師の先生からアロマオイル(精油・エッセンシャルオイル)についてお話を聞き、それを使ったワークショップを行った。

アロマオイルには、ラベンダー、ローズマリーなどハーブ系のものや、オレンジやグレープフルーツなどフルーツ系、それらをブレンドしたものなど数十種類もある。それぞれ精神・神経を覚醒させたり弛緩させたりする。

弛緩させるというとあまりイメージがよくないが、いわゆるリラックス作用である。覚醒剤が精神・神経を覚醒させ、大麻がそれらを弛緩させるのと同じだ。もちろんよりマイルドな効き目である。

アロマオイルや薬剤が人間にとって有用であるのは、人間の精神・神経がここぞというときに弛緩していたり、必要もないときに緊張したりしているものだからだ。

ワークショップといっても難しいものではなく、多種類あるアロマオイルを数種類ブレンドして、ベースとなる素材と混ぜ、①ルームフレッシュナー、②携帯ハンドソープ、③とろとろハンドローション、④バスボムを作る作業。RPGでMPを回復する薬草をブレンドして、より強力な効き目の薬草を作るようなものである。

正直いって企画段階ではあまり興味がなかったが、やってみていろいろ勉強にもなり面白くもあった。香りに関し、豊かな世界が広がっていることを実感することができた。

刑事手続に検証がある。テレビドラマやニュースで現場検証と呼んでいるやつ。検証とは、裁判官がその五感の作用によって、直接に事物の性状、現象を検査してその結果を証拠資料にする証拠調べである。

ここでいう五感とは、視覚にかぎらず、聴覚、味覚、嗅覚、触覚を含む。われわれ現代人は視覚を多用し、せいぜい時に聴覚等他の感覚を働かせているくらいである。しかし、人類の歴史のなかでは、視覚のみならず、聴覚、味覚、嗅覚、触覚が大事な働きをしてきた。

刑事や探偵が事件を解決するうえで発動する第六感は、こうした人間に一般に備わっている五感を超えた能力を発揮すること。岩波新書で中村雄二郎『共通感覚論』を読んだ。これは五感に共通する感覚のことである。

むかしNHKのドラマで「時をかける少女」にはまった。筒井康隆原作で、その後、原田知世主演で映画化された。大林宣彦監督の尾道三部作の二作目。アニメにもなった。時をかける際の重要アイテムがラベンダーの香りである。ラベンダーの香りにはリラックス効果、抗不安効果があるようだ。

筒井康隆の脳裏にあったと思うが、この話はプルーストの『失われた時を求めて』そのものである。ある寒い日、主人公が母に奨められたプチット・マドレーヌを紅茶とともに口に触れたとたん、失われた時が復活するエピソードはあまりにも有名である。

プレバトをみていると、夏井いつき先生が五感の切替の鮮やかさを賞賛することがある。情景描写から音や匂いへの発想を飛ばす。それが快感をもたらす。

味覚・嗅覚・触覚はひごろはあまり稼働していないかもしれないが、人間の深いところとつながっている。その稼働をきっかけとして古い懐かしい記憶を発動させることもある。

山歩きをしていると、ときに甘い香りがする。秋の紅葉した川沿いであればカツラであるし(写真下、これは春)、針葉樹林帯であればシラビソである。

カツラ(桂)の香りはメープルシロップのそれにそっくり。秋の登山道でカツラの香りに包まれるとノスタルジックな気分になる。

シラビソはどちらかといえば覚醒系だろうか。殺菌作用があり、天然除菌剤として販売されている。シラビソはこの成分を分泌することにより、細菌から身を守る免疫作用を発揮しているのであろう。

2022年7月12日火曜日

『妻が口をきいてくれません』


  前回の事務所会議の際、ワークショップを行った。「事実をどう見るか。」というテーマで迫田班が報告を行い、それについてチームにわかれてディスカッションを行った。

本年度新機軸の一つ。事務所会議を活性化し、事務所内の風通しをよくしたいが、どうしてもマンネリ化しがち。そこでやってみることにしたのが、この方法。

タネ本は野原広子さんによる『妻が口をきいてくれません』(集英社刊)。手塚治虫文化賞・短編賞を受賞している。

まずは夫の側から。ある日、妻が口をきいてくれなくなり、あれこれ模索するも打開せず。場面切り替わり、妻の側から。口をきかなくなるまでの長い導線の紹介。

裁判をやっていると、一つの事実が二つにも三つにも化ける。事実を偽っていることもあるけれども、同じ事実が観方によって違うということも多い。夫婦でも、実はまったく違う世界を生きているということはある。

チーム分けでは、年配者グループに入れられた。若い人たちとわれわれではそれぞれ「常識」が違うので、議論がかみあうよう配慮したとのこと。

その結果、女性4人に男性1人という多勢に無勢じょうたい。なにを言っても、あーそうですよね、だからですよと言われているような気がする。

夫婦間での話題のあと、事務所内での弁護士と事務局のコミュニケーションの話題に進展するかと思いきや、突然の終了。迫田弁護士いわく、そこは「余韻と省略」(MY弁護士の言葉)なのだそう。なるほど。

2022年6月7日火曜日

夢また夢ツアー


  (半夏生)

 昨夕は事務所会議のあと、久しぶりの事務局参加の懇親会。二日市のイタリアン・アズーロで。コロナ禍となって後、大人数での会食はむずかしかったが、すこしずつ日常を取り戻している感じだ。

前回の事務所会議ではパワハラ研修を行った。酒宴の席であっても、セクハラ発言は許されない。おりから法律事務所の職員による調査結果が報告されていた。「自動車なにを買ったの?」などと弁護士からプライベートなことを訊かれるのはいやだという意見もあれば、一日中雑談もなく仕事のことしか話さないのは苦痛だという意見もあった。この二つの意見の間の隘路を通過しなければならない。とても不安だ。

話題は、直前に行われた事務所会議のことから。この点は、あとでトミーが報告してくれることだろう。

不参加のメンバーが4人ほどいたのだが、なんでも体育館の裏でなにやらやらかしているらしい。わが事務所裏にはスペースがあって、実はそこでのことらしいのだが、パワハラ防止のため監視カメラが必要かもしれない(ジョークです。)。

つづいて、シェフによる料理の説明。時節柄、イタリアからの食材の輸入はどうなっているのか質問してみた。われわれもイタリアに絵本を送ろうとして苦労しただけに、シェフの説明にも共感した。

さらに近況報告。子育て。幼稚園、学校、PTA、思春期。みな子育てしながら苦労しているようだ。なかでも、I弁護士は子連れ参加だ。ときおり鳴き声が聞こえてくる。

その後はもうてんでばらばら。仕事柄、ヤミ金や難しい相手方との電話対応、ユニークな顧客対応などの話題が多い。穏やかに受け流すのか、強硬に対抗するのか、人それぞれ。

法律事務所には、弁護士の顧客というより、事務局のファンも多い。顧客のほか、郵便局員、宅配業者をはじめ多数の人間が出入りする。そのなかで、懇切な対応をしてくれた事務局のファンができても不思議ではない。

自分一人では思い出せないが、みなで話題を共有すると、つぎからつぎへと思い出されてくる。学生時代の悪行や、中洲での悪行までも。お鉢が回ってこないよう祈る。

さらに事務所旅行の思い出。ハイライトは南仏(一般コースから外れてマティスの教会へ行った。)や北陸旅行(N弁護士が他団体のおじさんとチークを踊り、母姉を心配させた。)について。わが事務所の最初の事務所旅行は四国めぐり。高知では、どうしても温泉に泊まりたいという所長の要望から、夢の温泉に泊まった。公民館のような建物だけが記憶に残っている。

そこから、事務局が行った夢巡追荘の話へ。それこそ外観は貧弱でがっかりしたらしい。ところが、中を進むにつれ、そのサービスや設備の充実に最初の評価はつぎつぎと裏切られる展開になるらしい。最後は、大満足な結果に。

今年は、夢タウンに集合して出発、1泊目は夢巡追荘、2泊目は夢の温泉という、夢また夢ツアーが計画されるらしい。・・・かくてコロナ禍も半分ぐらい解放された気分になったのだった。

2018年10月24日水曜日

顧問先企業の社員研修旅行に参加して


        (金鱗湖ほとりのシャガール美術館)  

 先週末はある顧問先企業のご招待で,社員・研修旅行に参加させてもらいました。

 1泊2日で,行き先は別府・由布院。おいしい料理を堪能し,温泉でひごろの疲れをいやし,リフレッシュしました。

 ノリが体育会系の会社で,わたくしも社員さんたちといっしょに白黒タイツを着せられ,錯覚ダンスというのをやらされました。これって,みんなが自主的にやっている分にはいいけど,そうでなければパワハラだよねと思いながら踊りました。

 企業というのは,それぞれの理念や目的にむかって組織的に行動する人の集まりです。目的を高く達成するには,できるだけ結束したほうがいい。でもあまり結束を強くすると窮屈で息苦しい。

 「知に働けば角が立つ,情に棹させば流される,意地を通せば窮屈だ,とかく人の世は住みにくい。」夏目漱石の『草枕』冒頭の言葉はいまもそのまま生きています。

 この難しいところを絶妙のバランスをとりながら組織を運営していく,人として人間らしく楽しみながら生きていく。それが大切なのでしょうね。

2016年1月21日木曜日

交通事故研修に行ってきました


 先日、交通事故についての研修に行ってきました。


 そこでお話しをされた方の言葉で、強く印象に残ったものがあります。

 交通事故の被害者にとって、いい弁護士とはどんな弁護士か?という問いに対する答えです。


 交通事故に関する知識がたくさんある弁護士でしょうか?交通事故をたくさん扱っている弁護士でしょうか?それとも、保険会社との交渉に強い弁護士でしょうか。

その方の答えは、違いました
 

「被害者の話を聞いてくれる弁護士。何でも知っていますよという様子の弁護士はあまり信用できない」というものでした。

 

 弁護士も何でも知っているわけではありません。

事実を丁寧に繰り返し確認し、そこから、似たような交通事故や症例はないか、参考になる文献はないか、例外的に請求が認められる場合はないか等、徹底的に調査します。事実が1つ違うだけで、結論が変わることもあります。

例えば、いわゆる主婦の方も、年齢や家事労働の状況等を考慮して、適切な額の休業損害や逸失利益を請求できます。

 なので、まずは、被害者の人の声を聞かないことには、適切なアドバイスは出来ません。

 また、誰かに話しを聞いてもらうというだけで、気持ちが楽になることもあります。

 このような理由から、当事務所では、交通事故の内容や被害実態の聴取りに力を入れています。
 

そのことの大切さを改めて確認できた研修でした。


なお、当事務所では、交通事故の初回相談は無料です。ぜひ、お話をしに来て下さい。

2015年12月14日月曜日

法の不知はこれを許さず(顧問企業研修③)


「法の不知はこれを許さず」
あるいは,「法の不知は害する」。
という法格言があります。

主に刑法の分野で議論されます。
「法律を知らなかったとしても,そのことによって,
罪を犯す意思がなかったとすることはできない。」(刑法38条3項本文)

速度違反で捕まったときに,「この道路が時速○○キロメートル規制
ということは知らんかったので・・・」という弁解は許されないということです。


あまり論じられませんが,この問題は刑事法の分野だけでなく
民事法,行政法の分野でも問題になりえます。

膨大な六法全書,弁護士や検察官,裁判官でさえ
おそらく全部知っているということはないでしょう。

お客さんから,すごいですねぇ~と持ちあげられますが
実はぜんぶは知りません。

とくに近時,社会が複雑になり,かつ,変動速度を速めているので
法律も日々制定・改正されていきます。

法律だけでなく,下位の政令・省令や通達まで含めると
とうてい手に負えるものではありません。

社会生活を律するルールはこれら制定法だけでなく
判例法もあります。

裁判所も日々判決を言い渡し
それらが積み重なって判例法を形成しています。

英米法などは
判例法を基本としているぐらいです。


われわれが日ごろ接する例で多いのは
相続・遺産分割や時効に関するルールです。

きょうは相続に関するルールについて紹介し
時効などについてはまたの機会に。


相続に関して,民法の相続編は
2とおりの制度を定めています。

ひとつは法定相続制度
ひとつは遺言制度です。

洋服でいえば,前者はレディメイド
後者はオーダーメイド

食事でいえば,前者は定食(シェフのお薦め)
後者はアラカルトです。

相続発生のきっかけとなる亡くなった人のことを
被相続人といいます。

相続のしかたについて,被相続人があれこれと
指示をするのが,遺言制度です。

それに対して,民法がこのように分けなさいと
指示をするのが,法定相続制度です。

遺言があればこれが優先し
なければ法定相続によることになります。


ただし,遺言があるにせよ,ないにせよ
相続人どうしで,どのように分けるかは決められます。

相続人どうしの仲が悪く,話がつかないのであれば
遺言や法定相続がその解決指針となります。

相続人どうしで話がつかないときには
家裁の裁判官が分け方を決めることになります(審判)。

その際に準拠する解決指針が
遺言や法定相続になります。

配偶者がいて,子ども2人,家庭円満であれば
じぶんたちで話し合って決めればよいです。

法定相続では,夫が亡くなったばあい
妻2分の1,子どもたち4分の1ずつです。

ですが,遺族で話し合い
母親がぜんぶ相続することにすることも多いです。

このような家族であれば
遺言をつくらなければならない必要性も低いです。


逆に,遺言をつくったほうがよい場合があります。
でも往々にしてあまり作られていません。

法定相続制度は,100件の相続が発生したときに
だいたい70~80件くらいはうまくいくように作られています。

しかし,残りの20~30件については
どうかなという感じになります。

たとえば,子の1人が両親と同居して
親の介護を長らくしてきたような場合です。

3人兄弟であれば
他の兄弟と平等に3分の1となります。

介護をしてきたのが長男の嫁であれば
まったく相続分がありません。

寄与分や特別受益という調整規定があるものの
うまく機能していないと思います。

寄与分は,親の商売を長男が手伝って遺産の形成に寄与したような場合
多めに相続できるという制度です。

家裁での遺産分割調停や審判も裁判所でおこなうことなので
争いのある事実を主張するときは証拠の裏付けが必要になります。

親の介護を長年おこなってきたことはともかく
それによって遺産が増加,もしくは減少しなかったことの証明は困難です。

特別受益は,逆に,生前に贈与を受け取っている場合
遺産の先渡しとして勘定されるという制度です。

農家で長男が農業を手伝っているようなとき
田畑を生前贈与している場合があります。

親の意思としては長男に多く相続させるつもりだったと思われますが
特別受益制度によると,遺産をもらえなくなったりします。

このように法定相続をそのまま適用したのでは
不公平感が残る,そのようなケースでは遺言をつくる必要があります。


しかし,被相続人が亡くなってから相談にきたのでは遅すぎる
いまさら,どうもなりません。

その際,ついつい「生前に遺言書をつくってもらっておけば
よかったですねぇ」と言わずもがなのことを言ってしまいます。

その場合,よくある反応が
「そんなことになるとは知りませんでした。」です。

むろん,遺言制度じたいを知らないことはないでしょうが
親の介護を長らくしても報われないことを知らなかったということでしょう。

そんなときに頭をよぎるのが
「法の不知はこれを許さず」,「法の不知は害する」です。

日々変化する膨大な法令をぜんぶ知っていることは不可能でしょうが
相続など基本的なところはセミナーなどで押さえておいたほうがいいでしょうね。

2013年7月31日水曜日

若さゆえ

最近,
「司法修習生」と
お話する機会が多くあります。



「司法修習生」とは,
司法試験に合格した後,1年間,
全国各地の
裁判所,検察庁,法律事務所などで
実地研修等を行う人たちです。

もちろん,私も
司法修習生だった時期があります。



もちろん経験を積んだ弁護士から見ると,
少し頼りなさを感じるでしょう。
ただ,
年齢も経験も
決して開きがあるとは言えない私からすると,

「うんうん,そう思うよね」と

納得してしまうこともしばしば。



いずれにしても,
彼らは,あと半年もしないうちに
法律家として活躍してくれます。


若さゆえに知らないこともあるでしょうが,
熱意と,フットワークの軽さは
ベテラン弁護士にも負けないはず。

良い解決を目指しますので,
いつでもお声掛けください。




……おっと。
司法修習生の話をしていたはずが,
これでは完全に
私の自己アピールですね (笑)





2013年3月14日木曜日

森くん,電話してるってよ。





福岡はきのう,ソメイヨシノの開花宣言。
裁判所裏の並木でははや満開の樹が。

花言葉は,精神美,優れた美人,優美な女性
あなたに微笑む,純潔など。


わが事務所には年に数人,司法修習生や
ロースクール生が弁護実務の研修にやってくる。

いまはT弁護士のところに1人
男性修習生Yくんが。

いまどきの若者にめずらしく,なかなか臆せぬ性格で
毎日,T弁護士らと言語バトルをくりひろげている。



T:森くん(Yくんの言い間違い),あれどうなったかね?
Y:…(沈黙)。

T:おい!
Y:はい。

T:ひとが訊きよるやろが。
Y:あっ,森先生に電話しているのかと思ってました。

(どっと笑)
これは,ありえん。

Yくんの席はT弁護士の隣で,その向こうは壁である。
T弁護士がしゃべればYくん宛と考えるのが普通な状況。

T弁護士は受話器をもっていないし
森弁護士は階がちがう。

あきらかに,T弁護士の言い間違いにかこつけて
すっとぼけたものである。


さいきんの若者にきょうつうする特徴で
ことわざなど知らないことがおおい。

I弁護士なぞ,じぶんが恥をかきそうになると
Yくんに話題をふって,逃げ場にしているくらいだ。


I: 「面目躍如」
 って,知ってる?

Y: お役で,ご免ということ…?。
I: ちがうでしょ(笑)。

I: 「辛酸をなめる」
 って,知ってる?

Y: それなら知ってます。財産関係のことですよね?
I: ちがいます(笑)。

I: じゃ,財産関係で,「恒産なければ恒心なし」
 って,知ってる?

Y: 降参です…。
みな: あはは。

※らいしゅうは,出張,春分の日やら健康診断やらで
木曜日までお休みさせていただきます。