物価上昇のおり、支払いに行き詰まって、個人で自己破産を依頼されるかたが増えている(むろん事業破産も増えている。)。きのうは個人の自己破産事件がふたつあった。
ひとつは、これから申し立てをするもの。シングルマザーのAさんで、実家の援助も受けられず、失職期間中の生活費が負債の原因である。
問題なのは債権者のなかに東京の法律事務所が含まれており、負債額も50万円と多額であること。なんの負債かというと、多額の負債を長期分割で支払っていくという任意整理を頼んだ費用だという。
最近、こういう自己破産や負債整理が増えている。東京の弁護士が費用だけとって、とても支払っていけない任意整理をして、あとは放置するという無責任かつ非道な態度である(われわれであれば、再度自己破産をするかどうか検討することになる。)。
任意整理は、債権者に利息・損害金をカットしてもらい、元金を基本的に3年以内で返済していくというもの。一度、やりくりに失敗しているわけだから、支払能力によくよく留意しなければ失敗しやすい。
東京の法律事務所も知らないわけではあるまい。ただ金儲けができればよいという考えでやっているのである。地域に根ざさず、インターネット広告で全国から顧客を集めている業態であるから、顧客の評判など気にならないのであろう。
われわれとしては申し訳ない気持ちでいっぱいである。同業者の非道もそうであるし、この依頼者がさいしょに、ちくし法律事務所に相談に来られなかったことについてである。よりいっそう地域に根ざし、このような非道な被害がでないようにしないといけないと思う。
この相談の最中、Bさんがお礼に来られた。今般、自身の自己破産事件が免責決定により終了されたかたである。夫がうつ病で思うように働けず、生活費を借りたというのが借金の原因である。
自己破産をしたとき、借入の原因が生活費であれば、原則として免責が得られる。免責というのは借金の帳消しのことである。
例外がある。借金の原因がギャンブルであったり、借金に関して問題行動があったりした場合である。Bさんも、一部の債権者に返済したり(偏頗弁済という。)、財産を処分されたり(財産隠匿の疑いがある。)、弁護士に依頼後にも借金をされたり(理論的には詐欺行為である。)していた。
このようなケースでは原則的な免責は得られない。が、裁判所の裁量で免責を得ることもできる。反省していて二度と借財をしないと認められるような場合である。お金がなくて自己破産をしているのだから、免責を認めないと債務者の立ち直りがはかれない。
破産管財人は一般に財産を換価し債権者に配当するために選任される。Bさんのように問題を抱えたケースでも、破産管財人が選任されることがある。財産の換価ではなく、裁量免責の可否を調査するためである。
管財人の選任が必要とされる場合、申立人がその費用20~25万円を裁判所に予納しなければならない。Bさんにもそうなると思いますよと覚悟を求めていた。
結果、上記問題行動はいずれも低額で管財人の調査まで必要ないと裁判所は判断したのだろう。管財人の選任なきまま免責決定を得ることができた。
一般にはそれで終わりである。こちらもそう思っている。費用をいただいて仕事をしているのであるから、任務が終了すればそれでめでたし、めでたしである。
Bさんはさらにお礼に来てくれた。ありがたい。地域に根ざして弁護士をやっている冥利に尽きる。
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